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 なんとも立派な碁盤だ。裏書きには「羽衣 本因坊秀格」とあった。22世本因坊秀格(高川格九段)の揮毫(き・ごう)だ。昭和27年初秋と記してあるから、初めて本因坊を獲得した直後と思われる。不滅の記録と言われた9連覇の初めの一歩だ。第2譜で触れたとおり、海峰棋院の所蔵。林海峰名誉天元が日本で譲り受け、台湾に渡った。これからどんな歴史の瞬間に立ち会うのか。

 白56は14分の考慮。1時間の昼食休憩を挟んでいるから、手拍子やうっかりではない。ここは挑戦者をたたえるべきか。黒57を2分で決断した。

 白は当然58の切りだ。黒の手抜きをとがめたくなる。挑戦者は手筋の黒59で対抗。白67ならAやBの利きを頼りに脱出できる。

 名人は白60の切り違いを決行。格言どおり一方をノビる参考図の黒1が注文だ。白2、4が成立する。黒9に白10が利き、白12の封鎖がピッタリだ。

 「お互い、思いついた最強手だけを打っている雰囲気」と平田解説者。白68で黒は左辺と左下が不安な格好になった。

(松浦孝仁)

 消費 黒:1時間53分 白:2時間34分 (持時間各8時間)

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