[PR]

 名人はイライラしているように見えた。▲をのみ込み、地合いのリードを奪うチャンスを逃したからだろう。ぼやきもやまない。「ああ、なんちゅう手を打ったんだ!」

 左辺の黒は69のノゾキが命綱。左下白の眼形を脅かすことで補強に換えている。白70から74は先手になるものの、挑戦者はじっと耐える道を選んだ。

 平田「黒73では捨て石作戦も有力でした。参考図の黒1です。白2で制されても、黒5まで中央の黒も立派。隅には黒aにカケツぐ味が残っています。白b、黒c、白dが絶対なので、展開によってはeの断点が焦点になる可能性があります」

 白76に黒は77から81で生きを確保した。続いて白Aには黒88でいい。白Bと急所を突かれても黒Cが利くので問題ない。

 ここで名人に失着が出る。黒Cの利きを拒否する白82、84だ。黒83、85と換わり、利敵行為になってしまった。中央の黒がかなり強化されている。白88、90で眼形を奪っても、黒99までの脱出がある。白82はAが相場だった。実戦はスソ空きで隅が薄い。名人のぼやきはさらに大きくなった。

(松浦孝仁)

 消費 黒:2時間41分 白:4時間5分 (持時間各8時間)

[ 次の譜へ ]