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 もうすぐ午後5時。封じ手が気になってくる時間帯だ。黒の流れのまま1日目が終わると踏んでいたが、ここから一変する。

 解説の平田智也七段は「挑戦者に二つの停滞があった」と指摘する。一つ目は黒1だ。ここに力を込めても二の矢がつげない。黒1ではAと構え、次にBをうかがうのが自然ではないか。右下は理想的な立体形になる。

 二つ目は黒3、5。中央の黒は生きを確保したものの、白6と換わってやはり次の狙いに乏しい。面白いもので、このあたりで名人のぼやきはすっかり止まっていた。

 「黒3で参考図の1はどうか。白2に黒3と連絡を確かめ、白4には黒5でこちらを生きておく。黒3は左下の白の眼形を奪っているし、黒5は隅への仕掛けを見ています。実戦と違い、次の手段が豊富です」と解説者。

 白6と押され、挑戦者は完全に受け身となった。黒19のあと5時半を迎えると、名人はすぐに次の一手を封じる意思を示した。迷いなく次の一手を決断できたのは流れがよくなった証拠だろう。

(松浦孝仁)

 消費 黒:3時間9分 白:4時間19分 (持時間各8時間)

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