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 検討室には台湾棋院の棋士も多数詰め掛け、立会人の王銘エン九段と検討を重ねていた。黒が63に出たあたりだったか。ふと目をやると、盤上の碁石がやけに少ない。はるか前の局面に戻されていた。そう、勝負ありの結論が出ていたのだ。

 白66にハネ出されると、とても安心できる状況とは思えない。挑戦者が用意していたのは黒67の割り込みだ。白68に黒69からシボリの態勢につくのがアマチュアには気づきにくい手筋。黒71まできれいに解決した。

 平田「続いて参考図の白1は黒2とツイで大丈夫。黒aの渡りとbが見合いです」

 黒bに白cと逃げ出せば黒d以下黒hまで。こちらの白を取るしのぎがある。

 最終盤。名人が中座すると、挑戦者は待っていたかのようにおやつに出されていたお菓子に手を伸ばした。一口頬張ったときに見せた幸せそうな表情はやはり19歳。可愛らしいものだった。

 下辺の争いが終わると黒は75へ。大きなヨセに回り、七番勝負初勝利を確かなものにした。

(松浦孝仁)

 消費 黒:7時間8分 白:7時間38分 (持時間各8時間)

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