【黒中押し勝ち】195手完

棋譜棋譜画像(クリックすると拡大します)

[PR]

 終局間際。対局室が37階にあると聞きつけたのだろう。数人のファンがエレベーターから降りてきた。警戒していると、遠巻きに対局室の入り口あたりをうかがっているだけだった。台湾の囲碁ファンは大胆だけどあたたかい。

 名人は黒195(9の二)が打たれてから3分ほどして投了を告げた。終盤、左辺の黒への攻めは碁を決めるつもりだったという。「受け方がうまくて」と言いながら、「(形勢が)いいと思っていたのは錯覚かもしれない」と話した。挑戦者は「白50(9の五)とマゲられておかしかった。とりあえず1回勝てて、ほっとした部分はあります。次も自分らしく打ちたい」。

 両対局者は検討を中断して大盤解説会の会場へ。ファンから喝采を受けた。台湾の囲碁人気はうらやましくなるほどだ。特に敵地に乗り込んだ格好の挑戦者にもあたたかく、あいさつをしたあとの拍手の大きさは互角だったように思う。

 最後に、台湾の囲碁事情を。対局前日に行われた指導対局には子どもたちの姿が目立った。日本の人気アニメが描かれた水筒を大事そうに持ちながら、かわいい指で碁石をつまむ。しかし盤上を見て驚いた。少しもかわいくない。AIの手法をしっかり取り入れていた。

(松浦孝仁)

 消費 黒:7時間21分 白:7時間46分 (持時間各8時間)