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囲碁名人戦七番勝負 第5局1日目ダイジェスト

2009年10月14日

図拡大<途中図>先番・張名人(80手まで)

図拡大(参考図)

写真第一着を打つ張名人(右)。左は井山八段=静岡県熱海市

写真立会人の山城宏九段(左)に封じ手が入った封筒を渡す張栩名人=静岡県熱海市

●○戦い、全局に広がる/武宮陽光の目●○

 左上隅で名人の意欲的な手から新型が出来上がり、そのまま左下へ戦いが移りました。白38の利かしに対して黒が43と切って反発したことから、全局に戦いが広がりつつあります。現在見えている地は白の方が多そうですので、黒としては右下と中央の二つの大石を攻めて、いかに寄りつけるか、白はうまくサバけるかどうかが明日の焦点になるでしょう。

●張名人が封じる

 午後5時32分、張名人が81手目を封じて1日目が終わった。消費時間は張名人3時間34分、井山挑戦者3時間58分。15日午前9時に再開する。

●○挑戦者、自信の進行か/武宮陽光の目●○●

 白66のツケでは、一般的には白70とケイマする手が浮かびますが、白66はさらにもう一歩突っ込んだ厳しい手です。黒は71までおとなしく受けましたが、白72までの形は、白70、黒66となる形よりも白の形が厚く、まさります。挑戦者の自信がうかがわれる進行だと思います。

●○「頑張った」打ち方/武宮陽光の目●○

 黒47では、参考図黒1とノビる方が本来の筋です。白2と打たれると左下隅の黒は取られますが、黒3と出た時にAのキリがあるために白は5とワタることができず、黒は左辺の白4子を取り込むことができます。左下隅の白地も大きいのですが、黒7の締まりに回れれば黒もまずまずで、このようなフリカワリも考えられました。

 実戦の黒47から49と差し込んだ手は、自らダメを詰める、大変感触の悪い手ですが、黒43の種石と左下の黒を両方とも助けようとする頑張った手です。ただ、先手で間に合わせた黒43、49の2目のダメヅマった形がとても気持ち悪いので、ある意味非常手段とも言える打ち方です。名人も当然感触が悪いと感じているでしょうが、先ほどのフリカワリでは左下隅の白地が大きすぎるとみて、やむを得ないと考えたのでしょう。

●○気合の応酬/武宮陽光の目●○

 午前の最終手白38は厳しい手です。単に白42と受ければ無難ですが、その前に白38と黒41を交換すれば利かしと見たのでしょう。単に白42と受けた後では黒33の石が軽くなり、黒41とツイでもらえるとは限りません。ただ、白38の時に黒39や黒42と出られる心配もあり、相当な読みと決断力が必要です。

 黒が39から43と切ったのは、単に黒41と受けるのでは利かされと見ての気合の反発ですが、白に44とノビられると左下の黒もダメヅマリで気持ちが悪い形です。また白の方も左辺の形に少し薄みがあります。両者がその味をにらむ中、どちらの力関係が上回るのかが今後の焦点です。早くも険しい戦いになるかもしれません。

●再開

 午後1時、対局が再開した。張名人はおしぼりで顔をぬぐった後、盤を見つめて考え込んでいる。

●○名人、コウを選ばず/武宮陽光の目●○

 左下の形で黒29、31とツケフクラんだ場合、黒はコウに弾こうとして打つことが多いのですが、名人はコウをやらずにおとなしく黒37まで受けました。左辺は白が低く堅い所なので、コウをやらずに固めさせても惜しくなく、価値のある外回りにツケれば悪くないという判断でしょう。ただ、若干重い打ち方であり、実利派でコウが好きな名人だけに、少し意外な印象を受けます。

●昼食休憩に

 正午になり、張名人が考慮中に昼食休憩に入った。消費時間は張名人1時間44分、井山挑戦者1時間16分。

●○名人の工夫/武宮陽光の目●○

 黒13のツケは珍しい手です。名人が温めていた手かもしれません。これによって上辺の白に対して利きを作り、黒17のカケを成立させようという狙いです。

 白もその利きがあるので、まともに戦うのを避け、白24までおとなしく受けました。左辺の白を全体的に低位にさせられたので、その点は不満ですが、白26、28と黒13にツケた石を悪手にできたことによってバランスを保っているという判断でしょう。名人の工夫から初めてできる形になりましたが、お互いに主張のある分かれになったと思います。

●○最近の流行/武宮陽光の目●○

 黒11のツケに対して、挑戦者は白12と二間にヒラきました。黒が三々にツケた時に手を抜くわけですから、従来の考え方で言うと不思議な感じがしますが、ここ2、3年、プロの間でよく打たれています。私は古いタイプの人間なのでいまだに違和感がありますが、それだけ碁の考え方が広がってきたということでしょう。

●○名人、愛用の布石/武宮陽光の目●○

 下辺の黒3、5、7の構えは、最近の名人が好んで用いる布石です。これに対する白8の打ち込みが、ほとんど時間を使いませんでした。名人がこの布石を愛用しているのは挑戦者も当然承知の上ですので、事前にその対策を練ってきたのではないかと思われます。

●○注目の1局/武宮陽光の目●○

 みなさん、おはようございます。日本棋院五段の武宮陽光です。第5局も中継を担当いたします。よろしくお願いいたします。

 挑戦者が3勝1敗とした迎えた第5局。勢いにのった挑戦者がこのまま名人位を奪取するか、カド番に追い込まれた名人が踏ん張って巻き返すか注目の1局をお楽しみください。

●第5局、始まる

 張栩名人(29)に井山裕太八段(20)が挑戦する第34期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)第5局が14日、静岡県熱海市の「あたみ石亭」で始まった。3勝1敗とリードしている井山挑戦者が勝つと、史上最年少での名人位獲得となる。張名人としては1勝を返して、逆転防衛につなげたいところだ。

 午前9時。立会人の山城宏九段が「時間になりました」と告げ、対局開始。名人が右上隅星に着手したのに対し、挑戦者は左下隅星と応じた。

 対局は2日制で持ち時間各8時間。15日夜までに決着する。

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