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囲碁名人戦第5局2日目ダイジェスト

2009年10月15日

図拡大(1〜176手)

写真張栩名人(右)を破って最年少で名人位を獲得し、感想戦で対局を振り返る井山裕太新名人=15日午後、静岡県熱海市、林敏行撮影

写真封じ手「10の十」を打つ張栩名人(右)。左は井山裕太八段=15日午前、静岡県熱海市、村瀬信也撮影

●○挑戦者の完勝/武宮陽光の目●○

 白176を見て張名人が投了し、史上最年少の新名人の誕生となりました。ヨセに入ってからも挑戦者の正確なヨセが続き、最後は、盤面でも黒が勝てるかどうかの差がつきました。

 一局を振り返ると、左下隅で黒がツケフクラんでからの打ち方が重く、黒49と感触の悪い手を打たされてしまったのが、流れが悪くなった原因ではないかと思います。1日目にこの中継で示したフリカワリについて、名人は「それでは形勢が悪そうだ」と感想を話していたので、それ以前の進行に名人の誤算があったのかもしれません。

 封じ手からの戦いも大変難解で、一つのミスも許されない状況でしたが、挑戦者は力強くかつ正確に戦い抜きました。この碁に関して言えば、井山挑戦者の完勝と言えるのではないでしょうか。

 対局後のインタビューによると、張名人は体調管理が万全ではなかったようで、「2日目に入って、バテ気味になることが多かった」と話していました。タイトル戦が続いた影響があったのかもしれません。今期は不完全燃焼の感がありましたが、また必ず巻き返してくると思います。

 一方の井山挑戦者ですが、全局を通して力強さと柔らかさとを兼ね備えた見事な戦いぶりで、20歳とは思えない落ち着きを感じました。今後のさらなる活躍が楽しみです。

 歴史に残る1局に立ち会えて、うれしく思います。私自身も大変勉強になりました。2日間、どうもありがとうございました。

●史上最年少名人が誕生

 第34期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は15日、静岡県熱海市のあたみ石亭で2日目が打ち継がれ、同日午後4時48分、挑戦者の井山裕太八段(20)が張栩(ちょう・う)名人(29)に白番176手で中押し勝ちし、通算4勝1敗として名人位を奪取した。残り時間は張名人が1時間28分、井山挑戦者が17分。

 20歳での名人位獲得は、65年の第4期旧名人戦(読売新聞社主催)で林海峰(りん・かいほう)八段(現名誉天元)が記録した23歳を、44年ぶりに更新する史上最年少記録。囲碁界の七大タイトルのなかでも最年少獲得記録となる。井山八段は同時に九段昇段も決めた。これも03年の張本因坊(当時)の23歳を抜き、最年少記録となった。

●○挑戦者、優勢か/武宮陽光の目●○

 白134から144とマクり、白146まで犠打を打って、隅の白を生きる手段は時折出てくる手筋です。普通、この手段は相手を厚くさせるマイナス点が大きすぎて、採用されることは少ないのですが、この場合はもはや打ち切っている局面で、この黒の厚みがさほど生きません。

 だいぶ右方の形も決まって、いよいよヨセに入る段階ですが、検討室では「黒はコミを出すのが大変なのでは」という声が上がっています。挑戦者が優位に打ち進めているようです。

●いよいよ勝負どころ

 午後3時になり、両対局者におやつが運ばれた。共にフルーツの盛り合わせ(かき、なし、りんご)だが、名人は好物のかきを多めに注文したという。飲み物は名人がミルクティー、挑戦者がアイスコーヒーだった。

 差し入れが来ても、両者はあまり手をつけない。局面が勝負どころに差しかかり、緊張感が高まっている。

●○右方一帯の黒地が焦点に/武宮陽光の目●○

 109手目では中央に打つか下辺を守るかが注目されましたが、実戦は黒109(79の右)と中央にトビました。下辺を守る手は20目は下らない大きな手ですが、まだ石数の少ない右上の広い場所にそれ以上の価値を求めたのだと思います。右方一帯にどれだけの黒地ができるかが、最後の焦点となりそうです。

●○挑戦者、シノギきる/武宮陽光の目●○

 名人は昼休みをはさむ長考の末に、黒101と出て左下隅の黒石の安定を図りました。黒59の石を助ける手段を考えていたのでしょうが、中央の白石との攻め合いに勝てないと見て、妥協したのだと思います。

 この後、白は黒59を取り込んで左右の白を連絡させることになりますが、下辺の黒地を破る手段と中央の白石を逃げ出す狙いが残っており、白の力強いシノギが成功した形ではないかと思います。

●再開

 午後1時になり、対局が再開された。張名人は休憩前に引き続き、考え込んでいる。

●○力強いシノギ/武宮陽光の目●○

 白90から92とノゾいた手が挑戦者の用意したシノギ筋でした。これに対し黒96とツグのは、白93とアテられるぐらいでも大したことはないので、黒は93と押し上げて頑張りました。

 白98では単に白100と切ればわかりやすくシノゲていますが、白98を決めてから白100と切ったのは最強のシノギです。単に白100ですと黒98と打たれ、1手で左下の黒石が右方へ連絡してしまいますが、実戦だと連絡がしづらくなっています。ただ、黒97の種石を自らつながせてしまうリスクもあるので、読みが必要な手と言えます。午後以降、この戦いがどう収束するか大変楽しみです。

●昼食休憩に

 正午になり、張名人が101手目を考慮中に昼食休憩に入った。消費時間は張名人4時間32分、井山挑戦者5時間55分。

●○挑戦者のシノギ/武宮陽光の目●○

 左辺の黒に対して、白からは色々な利きがあったのですが、白82から黒89までのシボリをこのタイミングで決めたということは、挑戦者は確実にシノギが見えているということだと思います。どのような読み筋なのか、楽しみなところです。

●○最強の封じ手/武宮陽光の目●○

 おはようございます。2日目も中継を担当します。よろしくお願いします。

 注目の封じ手は「10の十」のツケコシでした。昨日の最終手のケイマに対して、普通に押すような手は打てないところで、どのように反発するかが焦点でした。その手段として直接切断する手は、普通に出切るか実戦のツケコシかの2通りで、このツケコシの方がより厳しい手段と言えます。朝から激しいことになりそうで、早くも勝負どころを迎えたかもしれません。

●2日目始まる

 張栩(ちょう・う)名人(29)に井山裕太八段(20)が挑戦している第34期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)第5局の2日目が15日、静岡県熱海市の「あたみ石亭」で始まった。3勝1敗とリードしている井山挑戦者がもし勝つと、史上最年少の名人が誕生する。張名人は勝って、逆転防衛に望みをつなげたい。注目の一番だ。

 午前9時。立会人の山城宏九段が「時間になりました。並べ直してください」と告げ、1日目の手順が再現された。今期初めて封じ手をした張名人の81手目は「10の十」のツケコシだった。

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