2010年9月23日
第3局で高尾紳路九段(右)に勝った井山裕太名人=23日午後、山形県上山市、小宮路勝撮影
名人、初防衛まであと1勝――。第35期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第3局は23日、山形県上山市の旅館「古窯」で2日目が打ち継がれ、午後6時33分、井山裕太名人(21)が170手までで挑戦者の高尾紳路九段(33)に白番中押し勝ちを収め、対戦成績を3勝0敗とした。持ち時間各8時間のうち、残りは挑戦者4分、名人6分。第4局は10月6、7両日、神奈川県秦野市で。
深くて正確な名人の読みが、挑戦者のねらいを封じた。最後は、中央の激しい攻防を力強く制した。
名人は1日目、白44のツケから、黒の勢力圏とみられた右辺一帯で巧みに立ち回っていた。白80の押し(封じ手)で始まった2日目は、白82から右上に入り、下辺では相手の反撃を封じ込んで、地合いの差がはっきりした。
やや劣勢の挑戦者は、局面を複雑にすべく、各所の白にからんだ。だが、左下を黒107から十分に荒らせなかった。名人の右下白122の切りに対しても、黒123と切って中央で勝負を挑んだが、及ばなかった。
解説の秋山次郎八段は「名人の好局でした。左下の白76が強手で、勝因と言っていいかもしれません。乱れず、きっちりと、挑戦者の仕掛けを受けきりました」と評した。(新谷祐一)
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井山名人の話 白122の時点ではいけると思ったが、かなりきわどく、最後に運よくしのぎ筋が見えた。(3連勝の)スコアは考えずに、次も一生懸命打ちたい。
高尾挑戦者の話 左下で誤算が続いた。黒107からの稼ぎでは不本意で、少し形勢が悪いと思いました。3連敗は仕方がない。あまり気にせず次も精いっぱい戦いたい。