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囲碁名人戦七番勝負 第4局1日目ダイジェスト

2011年10月5日

写真:検討室で、対局の進行を見守る大橋拓文五段(右)=5日午前11時4分、静岡県下田市、松本敏之撮影拡大検討室で、対局の進行を見守る大橋拓文五段(右)=5日午前11時4分、静岡県下田市、松本敏之撮影

写真:停電のため、対局が一時中断した=5日午前11時26分、静岡県下田市、松本敏之撮影拡大停電のため、対局が一時中断した=5日午前11時26分、静岡県下田市、松本敏之撮影

写真:第一着を打つ井山裕太名人(右)。左は山下敬吾本因坊=5日、静岡県下田市の「清流荘」、松本敏之撮影拡大第一着を打つ井山裕太名人(右)。左は山下敬吾本因坊=5日、静岡県下田市の「清流荘」、松本敏之撮影

図:途中図(37―45)拡大途中図(37―45)

図:途中図(21−36)拡大途中図(21−36)

図:途中図(1―20)拡大途中図(1―20)

★挑戦者、しぶといさばき〈ひろふみの深読み〉

 「白38、40がしぶとく、すばらしい手。上辺のさばきをねらっています。上辺から中央にかけての黒石は強いので、それ以上固めさせても白としては不満がありません。本因坊は36手目で1時間13分の長考をしましたが、気づきにくく、最もいい手を繰り出してきました。白はさばけそうな形になってきたと思います。対して黒41、43は力が入りすぎているきらいがあります」

 「積極的な名人、慎重な本因坊という出だしで、互いに構想を外しあっていましたが、途中から本因坊が力で押し返し、やっと両者の読みがかみあってきたと思います。相手に攻められるなかで力を出すという展開は、本因坊としては珍しい。立ち上がりで名人が工夫してきたので、本因坊はそれを真正面から受けて立ちました」

 「2日目は白が右上隅に侵入する展開になるのではないでしょうか。現在の戦いが盤面全体に及ぶことはないと思います。最近は難解な戦いもいとわず、積極的に踏み込んでいく名人。どこから仕掛けていくかに注目したいと思います。」

●挑戦者が封じ手

 午後5時32分、挑戦者が46手目を封じた。消費時間は名人3時間33分、挑戦者3時間39分。

 6日午前9時から打ち継がれ、夜までに勝敗が決まる見込み。

●対局地は山あいのいで湯

 本局が打たれているのは、伊豆半島の南端、静岡県下田市。幕末に開港した歴史ある街の郊外に、対局地の清流荘がたたずむ。

 さらりとした無色透明の湯がわき、中庭のスパやカーター元米大統領が休憩した特別室など、南欧リゾートの雰囲気もただよう。2階の対局室からは、紅葉を待つモミジや、ヤシの木が望める。和の薫りと異国情緒が溶けあった、山あいのいで湯だ。

★挑戦者、苦心の長考〈ひろふみの深読み〉

 「名人は、白A、Cの出切りが厳しいと思い、黒21から上辺を守りに出ました。挑戦者は、白24、26の出切りから黒二子を取ったものの、左上が凝り形で効率が悪いと思います。逆に黒は、二子を捨て石にした効果で中央が厚くなり、態勢を整えて黒35のツケに回ることができました」

 「これに対して、本因坊は1時間以上の長考の末、白36と一間にトビました。黒35の一路下にハネるのがふつうですが、長考してそれ以外を選んだのは、白が困っているということだと思います。検討室のモニターには、本因坊が身もだえする姿が映っていました」

★挑戦者、「力強い逃亡」〈ひろふみの深読み〉

 「黒が攻める展開ですが、白が攻めさせている気配もあります。白18とコスんだのが本因坊らしい手。白A、黒B、白Cと出切る反撃をねらっています。同時に、攻めさせながら自然に相手の勢力圏である右辺へ侵入する。力強い逃亡、とでもいえるでしょうか」

 「黒としては、中央と右辺の白が連絡する展開にさせたくありません。そこを黒が割いてきたときに、白がどう対処するのかが見ものです。また、白はAからCの出切りをすぐにやるのか、あるいはそれを含みにしつつ戦うのか。午後も目が離せません」

●対局再開

 午後1時、対局が再開した。

●昼の休憩に

 正午、名人が21手目を考慮中に昼の休憩となった。名人の昼食は温かいきつねそば。挑戦者は注文なし。

 消費時間は名人1時間25分、挑戦者1時間15分。

●停電で20分間中断

 名人が19手目を考慮中に停電があり、午前11時10分から20分間、対局が中断した。同30分、立会人の小林光一九段の合図で対局が再開した。

★積極的な名人、慎重な挑戦者/ひろふみの深読み

 「黒は碁盤を広く使った戦いをめざしています。名人は1勝2敗と追い込まれている側なのですが、とてもそうは見えない。手が縮こまることはなく、かなり面白い碁になると思います」

 「むしろ本因坊のほうが、慎重になっている気もします。ふだんは小ゲイマなどは打たないのですが……」

 「お互いの構想がぶつかり始めたところです。名人が右辺を大きく構えたので、挑戦者はすぐに白12と右辺に入っていきました。対する名人は黒13の一間トビ。白10を巻き込み、あくまで戦線を拡大しようという方針です。ここでは白も考えることが増えた感じを受けます」

★ひろふみの深読み@清流荘

 本局のネット解説は大橋拓文五段が担当する。独自の深読みを交えつつ、本局の模様をわかりやすくお届けする。

 「おはようございます。3局目まで激しい碁で、いずれも黒番が勝っていますが、本局は出だしを見るとより激しくなりそうな感じを受けます。そのあたりが見どころです」

 「高中国流の出だしとなりました。最近では珍しい形で、中国流の5手目を一路中央に寄せたものです。山下本因坊は位の高い手を打つことが多いので、名人はそれを意識して一路高く打ったのではないでしょうか」

      ◇

 おおはし・ひろふみ 1984年、東京生まれ。2002年に入段(プロ入り)、2011年に五段。第1回おかげ杯準優勝。日本棋院東京本院所属。趣味はピアノ演奏。公式ブログ「ひろふみのブログ」(http://blog.goo.ne.jp/minamijyuujisei_1984)。

●第4局始まる

 井山裕太名人(22)に挑戦者の山下敬吾本因坊(33)が2勝1敗と先行して迎えた第36期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第4局が5日、静岡県下田市の「清流荘」で始まった。挑戦者が初の名人位まであと1勝とするか、名人が五分に持ち込むか。過去3局はいずれも先番が勝っているが、名人先番の本局の行方やいかに。

 午前9時、立会人の小林光一九段が「それでは時間になりましたので始めてください」と告げると、名人が第一着を右上星に打ち下ろし、挑戦者は左下星で応じた。

 対局は2日制で、持ち時間は各8時間。6日夜までに終局する見込み。

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