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2011年10月14日19時44分
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囲碁名人戦 第5局2日目ダイジェスト

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写真:封じ手が開封され、対局を再開した井山裕太名人(右)と山下敬吾本因坊(左)=14日午前9時4分、静岡県熱海市、松本敏之撮影拡大封じ手が開封され、対局を再開した井山裕太名人(右)と山下敬吾本因坊(左)=14日午前9時4分、静岡県熱海市、松本敏之撮影

図:最終図(1−182)拡大最終図(1−182)

図:途中図(86−135)拡大途中図(86−135)

写真:途中図(65−85)拡大途中図(65−85)

写真:途中図(1−64)拡大途中図(1−64)

写真:井山裕太名人の昼食はあたたかいキノコそば=14日、静岡県熱海市、松本敏之撮影拡大井山裕太名人の昼食はあたたかいキノコそば=14日、静岡県熱海市、松本敏之撮影

★名人、苦しみながらの勝利〈武宮陽光の目〉

 「上辺白150とカケツいだ時点で、黒は右上一帯の白の大石を取れなくなり、同時に形勢もはっきりしました」

 「序盤から大変見応えのある攻防で、いい勝負だったと思うのですが、左下黒81からの折衝で本因坊の華麗な打ち回しがさえ、黒111と右辺に攻めに回った時点では、はっきり本因坊が面白くなったと思います。ただ、それからの右辺の白への攻めが少し強引で、もう少し地でもいけるようにやわらかく攻めていれば、優勢を保てたのではないでしょうか。実戦は、黒地へナダレ込みながらの白のシノギになり、名人の逆転への道が開けました」

 「名人はこれでカド番をしのぎ、しかも次は得意の黒番です。まだ負け越していますが、シリーズは大変面白くなりました。第6局でもネット解説をさせていただきますので、よろしければぜひまたご覧ください。本日はどうもありがとうございました」

●名人勝ち2勝3敗に

 静岡県熱海市で13日から打たれていた第36期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は14日午後6時57分、井山裕太名人(22)が挑戦者の山下敬吾本因坊(33)に182手までで白番中押し勝ちを収め、通算2勝3敗として土壇場で踏みとどまった。第6局は27、28日、同県伊豆市で。

★名人、最強のシノギ〈武宮陽光の目〉

 「名人が白136と黒131の一子をカカえた手は、最強のシノギです。この手で137の一路左にカケて黒129の一子を制すれば、たやすくシノげそうでした。ただ、それだと黒136とノビられ、右上隅一帯を黒地にされると、地合いで足りなくなる恐れがあります。実戦は、黒地にナダレ込みながらのシノギなので、いよいよ白が生きれば勝ち、死ねば負けという、シンプルな勝負になりました」

●両者、秒読みに

 持ち時間が両者とも10分以内となり、互いに秒読みに。ここにきて本因坊は「まいったなあ」などと、しきりにぼやいている。

★本因坊、ごつく取りにいく〈武宮陽光の目〉

 「本因坊は、黒117、123と二つのナラビで厳しく白の眼形を奪いにいきました。かなりごつい手でしたが、125と割り込んだのはまだしも、129の切りが極めつきのごつい手。そこに切るのはいろいろな利きができてしまうので大変怖い手ではあるのですが、本因坊には相当な読みの裏づけがあるのでしょう。ただ、取らないまでも、攻めの余得で場合によっては地合いでもいける感じもありました。少し黒が面白そうだっただけに、本譜は名人としても歓迎の意味があります。実際に取れるかどうかは非常に難解で、どちらかというと取るのは大変というのが現段階での検討陣の見方です。いよいよ佳境に入り、目が離せなくなってきました」

★本因坊の強襲〈武宮陽光の目〉

 「いよいよ黒111と右辺の白に襲いかかりました。対して白は112とトビ上がり、脱出を試みます。途中、黒115は急所の一着。逆に白115とタケフにされてはいけません。黒117とナラんだのが本因坊の決意表明。かなり真剣に白の眼を奪いにいっています。どうやら取るか取られるかの勝負になりそうです」

●おやつの時間

 午後3時を回って、おやつの時間。名人はフルーツの盛り合わせ(メロン、ナシ、マスカット)と冷たいレモンティー、挑戦者は温かいコーヒー。

★本因坊、機敏な打ち回し〈武宮陽光の目〉

 「本因坊が黒89のツケ一本から91とハザマを突いたのが、機敏にして強烈な手でした。白としては反発したいところでしたが、黒から100とハネだす味もあり、無理とみてやむなく白92、94と受けました。これは明らかに利かされましたね。続いて黒95とツケコシた手がまた厳しく、白108までの形は黒が非常にうまく打ち回したと思います。振り返って、黒89に対して白96と出て黒97とツガせて白100と戻るほうが味がよかったかもしれません」

★戦い、左下へ移る〈武宮陽光の目〉

 「昼食休憩前に名人は76と切って、右下の白を落ち着けました。ここで本因坊が右辺の白二子をどう攻めるのか注目していましたが、実戦は黒81と左辺の白の急所に迫りました。右辺での態度を保留し、左方の展開に応じて右辺での戦い方を決めようという意味を含んでいます。いくさ上手な本因坊らしい、柔軟な打ち回しです」

 「これに対する白82のボウシも柔軟な一着。場合によっては白56、52あたりの石を処分してもいいという発想です。しばらくは左下での戦いが続きそうです」

●対局再開

 午後1時、対局が再開した。記録係の合図からひと呼吸おくと、名人は86手目で黒83の一路上にコスミツケた。

●名人、昼食はキノコそば

 正午になり、昼の休憩へ入った。名人の昼食は温かいキノコそば、ナスの煮びたし、大根おろしとイクラのあえもの。挑戦者は注文なし。

 現在は名人が86手目を考えている。持ち時間各8時間のうち、残りは挑戦者2時間40分、名人2時間46分。

★堂々たる進行〈武宮陽光の目〉

 「黒69のボウシは、本因坊らしい堂々たる一着。右下の弱い黒二子のほうから動き、右上の黒の厚みへ相手の石を追いやるという意味合いがあり、棋理にかなっています」

 「その後の数手は、お互いのねらいを外しあう、丁々発止のやりとりが続きました。たとえば、白68から二間にヒラくと、黒にさらにボウシされて息苦しい。そこで、少しでも位を高く取ろうと白70とケイマに打ちました。また黒71は、黒75と守る調子を求めた高等戦術。このあたり、見ていて気持ちのいい、さすがの進行ですね」

★名人、厳しい打ち込み〈武宮陽光の目〉

 「封じ手から黒67まで、白は先手で生きる味を残しました。それを横目に見ながら白68といよいよ右辺に侵入しました。ここではほかに、黒7の左上に肩をツイたり、白6から上に一間トビ上がったりする手も考えられるところです。白68は、右下の黒をおびやかしながら右辺を荒らしてしまおうという手。名人は一番厳しい入り方を選びました」

★名人の味つけ〈武宮陽光の目〉

 本局のアサヒ・コム解説は、おなじみの武宮陽光五段が担当しています。両対局者の難解な攻防を、終局までわかりやすくお伝えします。

 「おはようございます。今日もよろしくお願いします」

 「井山名人は封じ手に17の三のハネを選びました。ここでは実戦のハネか白65の切りの2通りあって、どちらか非常に難しいところでした。いずれにせよ、様子見の意味合いが強く、黒の応手によって右辺の打ち方を決めようという高等戦術です。一方、封じ手はこの2択だけなので、山下本因坊としても予想しやすいところでした。お互いに右上の変化は、ひと晩十分考えてきたところだと思います。今後の展開としては、右辺の黒の勢力圏を白がいかに荒らすか。また左下の白の勢力圏がどうなるか、特に左辺の三つのケイマが厚みとして働くか、逆に薄みとしてつけ込まれるかがポイントだと思います。」

      ◇

 たけみや・ようこう 1977年、東京生まれ。98年入段(プロ入り)、2005年五段。日本棋院東京本院所属。今年7月から囲碁将棋チャンネルで「武宮陽光のビューティーフォーム」の講師をつとめている。父は武宮正樹九段。

●名人、順当な封じ手

 井山裕太名人(22)に対し山下敬吾本因坊(33)が3勝1敗と先行して迎えた第36期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は14日、静岡県熱海市の「あたみ石亭」で2日目が打ち継がれた。

 午前9時、立会人の羽根泰正九段が「時間になりましたので封じ手まで並べてください」と告げると、両対局者が前日の手順に沿って並べ直した。名人の封じ手、64手目は17の三のハネ。検討陣も有力として挙げていた順当な手だった。

 持ち時間各8時間のうち、封じ手までに挑戦者が3時間27分、名人が4時間2分を使った。14日夜までに勝敗がつく見通し。もし挑戦者が勝てば、初めての名人位奪取となる。

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