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2011年10月27日18時2分
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囲碁名人戦七番勝負 第6局1日目ダイジェスト

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写真:第36期囲碁名人戦第6局が行われている「鬼の栖」=静岡県伊豆市、松本敏之撮影拡大第36期囲碁名人戦第6局が行われている「鬼の栖」=静岡県伊豆市、松本敏之撮影

写真:井山裕太名人の昼食のソバ=27日午前11時55分、静岡県伊豆市の「鬼の栖」、松本敏之撮影拡大井山裕太名人の昼食のソバ=27日午前11時55分、静岡県伊豆市の「鬼の栖」、松本敏之撮影

図:途中図(1−35)拡大途中図(1−35)

図:黒・井山―白・山下
1日目終了図(36−53)拡大黒・井山―白・山下 1日目終了図(36−53)

★封じ手、受けか中央脱出か〈武宮陽光の目〉

 「1日目は、序盤からお互い最強手の連続で、非常に難解な戦いになりました。封じ手直前の黒53は、白に受けてもらえば白50の一路下にハネて白を封鎖してしまおうというねらいです。封じ手ですが、右上をツナいで受けるか。あるいは、黒53にかまわず白50の下にノビきったり、その下に一間トンだりするか。おそらくこの2通りのうちどちらかだと思います。それによってまるで違う碁になるので、本因坊がどちらを選んだか、たいへん興味深いところです。明日の封じ手開封が楽しみですね。本日はどうもありがとうございました」

●挑戦者が封じ手

 午後5時38分、山下挑戦者が54手目を封じ、立会人の王銘エン(エンは王へんに宛)九段に封筒を手渡して1日目が終わった。持ち時間各8時間のうち、名人が3時間42分、挑戦者が3時間56分を使った。

 28日午前9時から打ち継がれ、夜までに決着する見込み。

★緊迫した局面続く〈武宮陽光の目〉

 「白の最強手36に対し、黒も長考して37のツギと最強に応戦。次いで白が38の出から40とハネた手が幸便で、上辺の黒の眼形を脅かしています」

 「現局面の焦点は、上辺の白石を黒が封鎖できるかどうかです。また、上辺の石が攻め合いになる可能性もあり、依然として緊迫した局面が続いています」

●おやつの時間

 午後3時を回り、対局者におやつが出された。名人にメロンと冷たいレモンティー、挑戦者は温かいミルクティー。

★長考の本因坊、最も厳しく〈武宮陽光の目〉

 「本因坊は、昼の休憩前と合わせると40分以上の長考の末、白36(黒35の一路右)とオサえました。これは最も厳しい手です。黒としては、ここをオサえられると上辺の生き方がとても悩ましい。ただ白も、石が三つに切れているので、危険な意味もあります。1日目の午後が始まったばかりですが、早くものっぴきならない局面に入りました。ここからの一手一手は、少しでも間違えると即負けにつながりかねません。じっくりとした読み合いになり、進行が遅くなるものと思われます」

●名人戦ゆかりの宿で

 本局は、名人戦でも数々の名勝負が繰り広げられてきた旅館「鬼の栖」で打たれている。

 宿の名は、瀬戸内晴美(寂聴)が1960年代に発表した小説「鬼の栖」にちなむ。作家の坂口安吾や宇野千代ら昭和の鬼才たちが身を寄せたことからそう呼ばれ、作品の舞台にもなったホテルが、東京の本郷菊坂に実在した。それにあこがれたのか、当時「石亭」と称した修善寺の旅館側が瀬戸内に申し出て、鬼の栖を名乗るようになったらしい。

 ここでは名人戦が過去に12局打たれた。名人4勝に対し挑戦者8勝だが、シリーズの結果は名人防衛8回、奪取4回。結末がややねじれているのは、鬼のいたずらだろうか。

 最も新しいのが3年前の名人戦第6局。2勝3敗で迎えた井山裕太八段が張栩名人に中押し勝ちしたが、最終局で敗れ初挑戦での奪取はならなかった。名人として3連覇をかける今期もまた同じ星勘定で迎えた。

 さて本局は、昼の休憩が終わり午後1時に再開した。明日の夜、名人戦の歴史にどんなデータが付け加わるのか、興味深い。

★名人、厳しく反発〈武宮陽光の目〉

 「黒17と打ち込んで最初の戦いが始まりました。黒としては、右上の壁を生かすために、ここから戦いを起こしたいところです。対する白18のボウシは、黒を封鎖しながら左右の白をつなげようとする自然な一手。白30とオサえた手に、黒34ではなく33のほうから切ったのが名人の厳しい反発です。ここで白が正面から戦うのか、かわして打つのか、昼の休憩後の最初のポイントです」

●名人、ざるそばを注文

 正午となり、昼の休憩に入った。名人の昼食は、ざるそばにキュウリもみ、おにぎり、香の物、洋梨。挑戦者は注文なし。

 現在は挑戦者が36手目を考えている。名人が1時間24分、挑戦者が1時間23分を使った。

★本因坊、一石二鳥のヒラキ〈武宮陽光の目〉

 「白12とコスんだ手が、この際のうまい受けです。黒13は省けず、本因坊は白14と絶好のヒラキに回れました。黒9と打ったからには名人も承知の上の進行ですが、このヒラキは右辺黒の壁の勢力をそぐ意味も兼ねています。勢力重視の私にも、やはりこの形は白が不満がないようにみえます」

★名人、勢力志向か〈武宮陽光の目〉

 「黒9のほうからオサえたのが珍しい手。上辺に黒のヒラキがあるときにはよくある手ですが、この局面では黒10と遮るのが一般的です。黒9は名人の趣向で、この碁は勢力で打とうという気配がうかがえます」

★武宮陽光の目@鬼の栖

 解説は武宮陽光五段が担当します。名人と本因坊による大一番をわかりやすくお伝えします。

 「おはようございます。武宮陽光です。前局に引き続きネット解説をさせていただきます。今シリーズもいよいよ終盤に入って、がぜん面白くなってきました。名人がカド番をしのいで最終局まで持ち込むのか、本因坊が名人位を奪取するのか。注目の一番をどうぞお楽しみください」

      ◇

 たけみや・ようこう 1977年、東京生まれ。98年入段(プロ入り)、2005年五段。日本棋院東京本院所属。今年7月から囲碁将棋チャンネルで「武宮陽光のビューティーフォーム」の講師をつとめている。父は武宮正樹九段。

●第6局、第一着は右上星

 井山裕太名人(22)に対し挑戦者の山下敬吾本因坊(33)が3勝2敗と先行している第36期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第6局が27日、静岡県伊豆市の旅館「鬼の栖(すみか)」で幕を開けた。挑戦者が悲願の名人位を獲得するか、名人が連勝して最終局に持ち込むか。

 定刻の午前9時、立会人の王銘エン(エンは王へんに宛)九段の合図で、両対局者が一礼を交わした。先番の名人が第一着を右上星に打ち下ろすと、挑戦者は左下星で応じた。

 対局は2日制で、持ち時間は各8時間。28日夜までに決着する見込み。

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