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2012年8月30日18時27分
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囲碁名人戦七番勝負 第1局1日目ダイジェスト

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写真:3時のおやつ。挑戦者はフルーツと紅茶(手前)を頼んだが、名人はコーヒーのみ(奥)拡大3時のおやつ。挑戦者はフルーツと紅茶(手前)を頼んだが、名人はコーヒーのみ(奥)

写真:第一着を打つ挑戦者の羽根直樹九段。左は山下敬吾名人=30日午前9時、東京都文京区の椿山荘、山口明夏撮影拡大第一着を打つ挑戦者の羽根直樹九段。左は山下敬吾名人=30日午前9時、東京都文京区の椿山荘、山口明夏撮影

写真:29日の対局室検分後、椿山荘の庭園で握手をする山下敬吾名人(左)と羽根直樹九段拡大29日の対局室検分後、椿山荘の庭園で握手をする山下敬吾名人(左)と羽根直樹九段

図:途中図(32―56)拡大途中図(32―56)

図:途中図(1―32)拡大途中図(1―32)

■挑戦者、封じる

対局生中継・棋譜中継はこちらから

 午後5時35分、羽根挑戦者が46分考えた末に57手目を封じた。隣室でしたためた封じ手の封筒を、立会人の石田秀芳二十四世本因坊に手渡し、1日目を終えた。消費時間は羽根挑戦者が4時間7分、山下名人が3時間28分。

 1日目は剛腕の名人が実利で先行し、しのぎ上手の挑戦者が手厚く力をためる、両者の棋風とは逆の展開となった。

 目下の焦点は上辺の難解な攻防だ。黒模様を荒らした名人に対し、挑戦者は黒51、53と中央を連打。白54のコウ仕掛けから56のコウダテに挑戦者がどう対処するのか。2日目は再開早々から目が離せない展開だ。

 解説の金秀俊八段は「実利先行型の挑戦者が打ち方を変えてきた印象です。封じ手は注目の一手。候補は多くはありませんが、非常に判断の難しい場面です」と話している。

 2日目は31日午前9時に再開し、夜までに決着する見込み。

■白は実利先行、黒は制空権

 挑戦者は黒33、35と、上辺に踏み込んだ白を追及。名人はコウに受けてから48、50と中央へ進出して、黒模様を荒らした格好になった。挑戦者が中央黒51にトベば、名人は右辺白52へまわって実利を優先する。黒はさらに53とボウシした。

 中央に並んだ黒は手厚く、制空権は挑戦者が手にしている。解説の金秀俊八段は「実利の好きな人は白、手厚い碁を好む人は黒。ここはプロでも意見が分かれそうです」と話した。(伊藤衆生)

■名人、おやつも食べず

 午後3時を回り、両対局者におやつが出された。昼食をとらなかった名人だが、おやつもホットコーヒーだけ。眼鏡をはずして盤面をにらんでいる。

 一方、挑戦者はフルーツの盛り合わせと紅茶。メロンやスイカ、マスカット、マンゴーなど色とりどりの果物が、涼しげな切り子の器に盛られている。

■対局再開

 午後1時、対局が再開した。33手目を考えていた羽根挑戦者は再開後まもなく、上辺白32の一路下にハネた。今度は山下名人が前傾姿勢で考えている。

■羽根の攻め?、山下のしのぎ?

 名人戦の大舞台では初めての対決となった両者。山下名人好みの白6、8の構えに羽根挑戦者が黒11と打ち込み、名人は白12、14と変化する。序盤は見通しの立ちにくい波乱含みの展開だった。その後、局面は落ち着きかけたが、名人が上辺の黒模様に白28、30と踏み込んで難解な局面にさしかかっている。

 剛腕で知られる名人だが、しばらくは、しのぐ側に回りそうだ。対する挑戦者は黒21が手厚い一手。こちらは攻勢に立つだろう。両者の棋風からくる「山下の攻め、羽根のしのぎ」のイメージとは正反対だ。(伊藤衆生)

■昼食休憩に

 正午になり、羽根挑戦者が33手目を考慮中に昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は羽根挑戦者が1時間47分、山下名人が1時間13分。対局は午後1時に再開する。

 さて注目のお昼のメニュー。挑戦者はにぎりずしのセットを頼んだが、名人は昨年のシリーズと同じく、注文なし。普段の対局と変わらず、昼食をとらずに午後の対局に臨む。(深松真司)

■歴代名人が勝敗予想

 29日夜には前夜祭が開かれた。両対局者が退場したあとは、恒例の「勝敗予想」。立会人を務める石田秀芳二十四世本因坊をはじめ、武宮正樹九段、依田紀基九段、高尾紳路九段といった歴代名人が登壇して、今シリーズの見どころや勝負の行方を語り合った。

 最初にマイクを向けられたのは高尾九段。「どっちが勝ってもいい。僕には関係ないので……」と笑いを誘うと、依田九段は「2人は碁界随一の人格者。気分的にはどちらにも勝ってもらいたい」。続けて武宮九段が「2人ともホントに人格者だよね。ボクなんか若い頃ひどかったですから」と切り出し、「名人が攻め、挑戦者がしのぐ展開になるかな。それにしても挑戦者は粘り強い。昔の林海峰名誉天元に似ていると思う」と話した。

 新聞解説の金秀俊八段は、挑戦者が名人リーグ最終戦で河野臨九段に大逆転勝ちしたことが名人挑戦につながったとして、「そろそろ河野さんの時代が来るかなと思っていたので、今回は(河野さんを破った)挑戦者にのりたい」。大盤解説を担当する秋山次郎八段は「挑戦者はパワーで(力自慢の)名人に対抗したいと言っていた。いつもとちょっと違った展開になるかも」と予想した。

 最後は石田二十四世本因坊が「2人には連勝連敗の癖がある。一進一退の展開とはいかないでしょう。どちらがスタートダッシュをするか、第1局、第2局はとても大事です」と締めくくった。

 はたして予想はあたるのか?(深松真司)

■第1局の舞台

 椿山荘は、昨年の名人戦七番勝負でも開幕の舞台となった。春の将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催)では、2008年以来5年連続で開催地。今回の対局室も将棋と同じ和室が使われている。近年の「名人戦」には縁の深い場所だ。

 今日の東京の予想最高気温は34度。残暑が厳しく、対局室から見える庭園はセミの鳴き声に包まれている。だが室内はすでに秋を感じさせる。掛け軸は萩の花にちょうちょ。生けられた花も菊が中心だ。

 七番勝負の長い戦いが終わる頃には、本格的に秋が訪れているのだろう。(鈴村綾子)

■第1局始まる

 山下敬吾名人(33)に羽根直樹九段(36)が挑む第37期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第1局が30日、東京都文京区の椿山荘で始まった。山下名人の初防衛か、羽根挑戦者の奪取か。「四天王」同士が力勝負を宣言した注目の対決が幕を開けた。

 定刻の午前9時、立会人の石田秀芳二十四世本因坊が「時間になりましたのでニギリをお願いします」と告げると、両対局者は一礼。名人が白石を握り、挑戦者が盤上に黒石を1個置いて「奇数先」の意思表示をした。はたして、握った白石の数は13個。奇数だったため挑戦者の先番(黒番)と決まった。

 挑戦者は一息ついて、右上星に第一着を打ち下ろした。名人もほどなく左下星と応じた。(深松真司)

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