現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. エンタメ
  3. 囲碁
  4. 名人戦ニュース
  5. 記事
2012年9月28日17時56分
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

囲碁名人戦七番勝負 第3局2日目ダイジェスト

関連トピックス

写真:大盤解説会であいさつする、左から万波奈穂二段、矢代久美子五段、河野光樹八段、上村陽生九段=宮崎市、小川雪撮影拡大大盤解説会であいさつする、左から万波奈穂二段、矢代久美子五段、河野光樹八段、上村陽生九段=宮崎市、小川雪撮影

写真: 神域であることを表す御幣(ごへい)がほとりに立つ「みそぎ池(御池)」=宮崎市、小川雪撮影拡大 神域であることを表す御幣(ごへい)がほとりに立つ「みそぎ池(御池)」=宮崎市、小川雪撮影

写真:対局室の床の間にいけられた秋の花=宮崎市、小川雪撮影拡大対局室の床の間にいけられた秋の花=宮崎市、小川雪撮影

写真:羽根挑戦者の昼食の温かい天ぷらそば=宮崎市、小川雪撮影拡大羽根挑戦者の昼食の温かい天ぷらそば=宮崎市、小川雪撮影

写真:封じ手が記された棋譜と封筒。「6の十五」のところにある丸印が羽根挑戦者が封じた57手目=宮崎市拡大封じ手が記された棋譜と封筒。「6の十五」のところにある丸印が羽根挑戦者が封じた57手目=宮崎市

図:最終図(89―141)拡大最終図(89―141)

図:途中図(57―88)拡大途中図(57―88)

■羽根挑戦者が2勝目

対局生中継・棋譜中継はこちらから

 27日から宮崎市のフェニックス・シーガイア・リゾートで打たれていた第37期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第3局は28日午後5時44分、挑戦者の羽根直樹九段(36)が山下敬吾名人(34)に141手までで黒番中押し勝ちし、シリーズ通算2勝1敗とした。持ち時間各8時間のうち、残り時間は挑戦者40分、名人2分。

 第4局は10月10、11日、仙台市で。

■最終局面か

 上辺黒を攻めあぐねていた山下名人は、思い直して白114から再び右辺黒を攻めだした。挑戦者も黒117、119と懸命にしのぐ。

 検討陣が息をのんで見守ったのが黒127の一着だ。実戦のように127ツギではなく、「黒128」と出る手が成立するのではないか、というのだ。

 出れば、攻め合い含みのきわどい勝負は必至。急転直下の決着も予想されたが、結局、挑戦者はその手を選ばなかった。自重したのか、危険を冒す必要がないと判断したか。

 その後、挑戦者は左辺黒129に回った。取られたはずの黒三子を助け出すとともに、左辺白の眼形を脅かす大きな手だ。まもなく、対局室に記録係が2人とも入室した。秒読みが近い。ついに最終局面か。

■大盤解説会、始まる

 午後1時半から、対局室と同じフロアにある会場で大盤解説会が始まった。解説は、ともに宮崎県出身の上村陽生九段と河野光樹八段。聞き手は矢代久美子五段。会場の外で行われている指導碁には万波奈穂二段が参加し、大盤解説会にも登壇して会場を沸かせた。

 さらに、今回初めて新聞解説を務める林漢傑七段も壇上に。今晩ケーブルテレビなどで放送されるテレビ棋戦の決勝戦に登場することが紹介されると、約80人の観衆から大きな拍手が送られた。ちなみにこの棋戦では、山下名人、羽根挑戦者の両者を破っての決勝進出だった。

 大盤解説会場の名は「海峰の間」。林七段の師匠、林海峰名誉天元の名と同じだ。師匠の印象を尋ねられた林七段は「優しすぎるくらいで怒られたことがない。でも碁の指導は厳しいです」。兄弟子の張栩棋聖の方が「時間やあいさつに厳しく、よく怒られました」と話していた。

■パワーみなぎる神話の地

 対局場のあるシーガイアの一帯は「阿波岐原(あわきがはら)」という神話の地でもある。コンベンションセンターから5〜6分歩いた森の中にある「みそぎ池(御池)」もその一つ。「国産み神話」の神、イザナギノミコトにまつわる場だ。

 国産みの後に死んでしまった妻、イザナミノミコトを黄泉(よみ)の国へ訪ねたイザナギノミコトは、自らの姿を見ないでほしいというイザナミノミコトとの約束を破って逃げ帰った。黄泉の国で受けたけがれをはらい落とした「みそぎ」の地が、この池という。アマテラスオオミカミは、その際に生まれたとされる。

 訪ねたみそぎ池は、淡い黄色の花をつけたハスで覆われ、石の上では亀が首を伸ばして甲羅干し。水中ではメダカのような小さな魚の群れが元気よく泳ぎ回る先で、でっぷりしたコイが悠然と体をくねらせていた。近くには、イザナギノミコトとイザナミノミコトをまつる江田神社がある。10世紀初めの記録にも残る古社だ。

 太古からの時を静かに刻む神話の地。隣接する対局場からも、静かに、しかし熱いエネルギーが途切れることなく発せられている。

■名人長考、形勢不明

 午後3時を回り、両対局者におやつが出された。山下名人は1日目と同じ、日向夏みかんジュース。羽根挑戦者はコーヒー。

 午後に入り、名人が長考に沈む姿が目立つようになった。右辺黒を攻めていた名人だが、白92ツケから上辺黒を攻め始めた。ただ、うまい手が見つからなかったのか、名人は「ムチャクチャやったな〜」とぼやいたり、自分の頭をポカリとやったり。

 記録係の安達利昌二段によると、午後3時時点での残り時間は名人が1時間強、挑戦者が2時間弱という。封じ手のときから逆転してしまった。

 午後の対局再開時には、検討陣から「白持ち」の声も上がっていたが、今は「ちょっと黒が盛り返したか」との見方も。ただ、形勢となると依然、不明のようだ。

■南国にも秋の気配

 対局が行われているのは、シーガイアのコンベンションセンターにある和室。近代的な建物の一角に、人工の滝や小川が流れる和の空間が仕切られている。格子戸を開けてそのエリアに足を踏み入れると、凜(りん)とした空気に背筋が伸びる思いがする。

 和室の床の間には、黄色と紫の組み合わせが美しい菊とホトトギス、伸びやかに枝を広げる石化柳(せっかやなぎ)、キキョウランがいけられている。菊もホトトギスも秋の花。まだ残暑の色濃い宮崎だが、対局室には秋の気配が漂う。

 「季節の美を感じてもらい、両対局者に元気が出るようにと思っていけました」と日比谷花壇シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート店副店長の島田三津美さん。

 花を目にするのはもっぱら、床の間に向かって座る挑戦者。盤上から目を上げた時に、天に向かって伸び上がる若々しい柳の枝からエネルギーをもらうだろう。あるいは名人も、背中に今が盛りの花々の、みずみずしい生命力を感じているかもしれない。

■決着へ、対局再開

 午後1時になり、対局が再開した。しばらくは右辺での攻防が続きそうだ。

 両者とも残り時間が3時間を切っている。いよいよ決着のときを迎える。

■昼食休憩に

 戦線は中央から右辺へ。右辺黒に対し、山下名人が攻勢をかけている。「攻めの山下、シノギの羽根」。それぞれの棋風通りの展開が続くなか、午前11時56分、羽根挑戦者が89手目を考慮中に昼食休憩に入った。正午までの4分は挑戦者の考慮時間に入れられる。

 名人はこれまで通り、昼食は食べずに決戦に臨む。挑戦者は1日目と同じく、温かい天ぷらそば。山菜とかまぼこがのったそばに、エビとしいたけの天ぷらが添えられている。

 ここまで持ち時間各8時間のうち、黒番の羽根挑戦者が5時間33分、白番の山下名人が5時間8分を使った。午後1時に再開する。

■戦端開かれる

 対局再開から1時間ほど立ち、ついに戦端が開かれた。1日目は、大きな戦いになりそうでならない虚々実々の駆け引きが続いたが、山下名人の強手を羽根挑戦者が真正面から受けて立ったことから一転、中央で激しい戦いに突入した。

 封じ手のあと、数手は必然の手順が続いたが、長考のすえに、あえて筋悪く白66とアテたのが名人らしい力強さ。挑戦者も妥協せず黒69と逃げ出した。右辺をも巻き込んだ大規模な戦いも予想されている。

 ここで思い出されるのが、前夜祭での両対局者のあいさつの言葉だ。勇壮な太鼓の歓待に顔を上気させ、「対局で気合が入りすぎてしまうのではないかと思うくらいの大迫力。バランスをとりながら、でも、大事なところでは思い切って(太鼓の音のような)勢いのある碁が打てたらいいなと思います」と挑戦者。名人も「太鼓のすごい迫力に元気をいただきました」と話した。

 前夜祭から2日たつが、盤上で火花を散らす両雄の耳には、いまなお、ドドドンと力強い太鼓の音が鳴り響いているのだろう。

■2日目始まる

 山下敬吾名人(34)に羽根直樹九段(36)が挑んでいる第37期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第3局は28日、宮崎市のフェニックス・シーガイア・リゾートで再開され、2日目に入った。

 午前9時、両対局者が1日目に打った56手までを盤上に並べ直し、立会人の武宮正樹九段が封じ手の入った封筒にハサミを入れた。羽根挑戦者が封じていた57手目は「6の十五」。左下の黒をぐいっと押し上げた。

 1勝1敗のタイからどちらが先行するか。勝負は28日夜までに決まる。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介
  • ねっとde碁
  • ねっとde碁
  • 名人戦名局百選

囲碁の本

第36期囲碁名人戦全記録

剛腕・山下敬吾本因坊が井山裕太名人を4勝2敗で破り、タイトルを奪取した七番勝負を観戦記で振り返る。ほか、挑戦者決定リーグ戦全37局(プレーオフを含む)の棋譜、朝日新聞紙上に載った記事や写真なども収録。

井山裕太20歳の自戦記

史上最年少で名人となった井山裕太名人の初の打碁集。名人奪取までに打った17局を自ら振り返る。坂田栄男、趙治勲、小林光一ら歴代名人7人が見た井山評も。

勝利は10%から積み上げる

囲碁界第一人者の張栩十段が、これまでの棋士人生で培われた、自らの勝負哲学を明かす。

powered by amazon

囲碁関連グッズ

第37期囲碁名人戦 記念扇子

初防衛を目指す山下敬吾名人と挑戦者・羽根直樹九段の揮毫入り。対局開催地と日本棋院だけで販売の限定品

囲碁って楽しい!

名人戦も囲碁ガールも!新しい囲碁の魅力に触れてみませんか?