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2012年10月10日18時53分
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囲碁名人戦七番勝負 第4局1日目ダイジェスト

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写真:水が勢いよく流れ落ちる秋保大滝=仙台市太白区、小川雪撮影拡大水が勢いよく流れ落ちる秋保大滝=仙台市太白区、小川雪撮影

写真:昼食休憩時点の盤面拡大昼食休憩時点の盤面

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写真:立会人の時計=10日、仙台市太白区の茶寮宗園、山本和生撮影拡大立会人の時計=10日、仙台市太白区の茶寮宗園、山本和生撮影

図:〈途中図〉先番・山下名人(40手まで)拡大〈途中図〉先番・山下名人(40手まで)

■山下名人が封じる

対局生中継・棋譜中継はこちらから

 午後5時42分、山下名人が41手目を封じて1日目を終えた。名人は別室で棋譜に印を書き入れ、封筒に入れて立会人の林海峰名誉天元に手渡した。今シリーズでの名人の封じ手は初めて。

 消費時間は黒番の山下名人が3時間45分、白番の羽根挑戦者が3時間57分で、ほぼ同じ。11日午前9時に再開する。

 1日目の午後は左辺一帯の難解な攻防が続いた。

 名人が昼食休憩前とあわせて57分費やした黒23からが午後の戦い。白24も49分、黒25も43分と、両対局者はじっくりと時間をかけ、複雑きわまりない局面に深い読みを入れ、慎重に一手一手を繰り出した。

 挑戦者の方針は、左辺の白3子を捨てて中央から左下へ強固な壁を築く作戦だった。しかし、そうはさせまいと名人が黒39ハネ出しを放つと一転、左辺を白40と動いて激しく反発して、名人の封じ手となった。

 白40は検討陣も予想しなかった手で、解説の小林覚九段は「ふつうなら白40は(黒39の一路左の)切り。その自然な手を捨てたということは、挑戦者が現状をシビアに感じているということでしょう。もはや一般論が通用しない戦いに突入しました」と話した。

 勝負どころを迎え、2日目の封じ手開封から目が離せない展開になりそうだ。

■スローペース

 午後4時半を回り、封じ手ができる時刻まで1時間を切った。だが、局面は固まったかのように動かない。左辺での超難解な読み合いが続いており、名人、挑戦者とも長考に長考を重ねている。

 検討室のモニターに映し出されるのは、苦しげに身もだえする両対局者の姿だ。ときおり、「分からん」「う〜ん」「何をやっているんだ」とぼやきも聞こえる。

 これまでの封じ手をみてみると、第1局が57手目、第2局が66手目、第3局が57手目。いずれも羽根挑戦者が封じている。

 今局は午後5時の時点で、名人が37手目を考えている。今回は名人が封じるのか。いずれにしても、今シリーズ最短手数の封じ手になりそうだ。

■福を招くおやつ

 午後3時、おやつの時間になったが、名人は昼食に続いておやつもなし。挑戦者は、招福まんじゅうと名付けられた、つぶあん入りのおまんじゅう。これが福を招いたかは、明日わかる。

■親子囲碁教室

 仙台市青葉区五橋の河北新報社では、初心者向けの「親子囲碁教室」が開かれた。

 参加した親子約50人を前に、宋光復九段と巻幡多栄子三段が9路盤を使ってルールを説明した。「交互に打つ」「土地が多い方が勝つ」「囲むととれる」「打ってはいけない所がある」という四つのルールを約30分で教え、さっそく親子対局スタート。

 仙台市若林区から来た三浦美佐子さん(40)は、おじいちゃんに囲碁を教わっている長男の颯太くん(9)に「ここに置けばとれるよ」と教えられながら、次男の和樹くん(6)と打った。宋九段も「盤の角の石は、二つの石だけでとれるんですよ」とアドバイスをおくり、和樹くんと石を取り合う「熱戦」を繰り広げた。

 三浦さんは「主人がいないと、長男の相手を出来る人がいないので、私でも相手ができるように」と参加したという。本を読んで勉強してもなかなか覚えられなかったが「やっぱり説明を聞くと分かりますね」と笑顔をみせていた。

■対局場は仙台の奥座敷

 秋保は仙台市の西方、山形市に接する山あいの温泉地だ。豊かな自然に恵まれ、四季折々の美しさに「仙台の奥座敷」と呼ばれる。

 その秋保を代表する観光地の一つが、秋保大滝。幅6メートル、高さ55メートル。国の名勝にも指定されている。

 緑豊かな渓谷にごうごうと音を立て、勢いよく水が落下する。数十メートル離れた岩場で撮影していても、水しぶきがうっすらかかるほどだ。流れていくのは名取川。仙台市の中心部をゆったりと流れる広瀬川は、この支流という。

 残暑の厳しい今年は紅葉が遅れ気味だが、緑の中を真っ白な水がほとばしり落ちる様はダイナミックで、そばにいるだけでエネルギーをもらえるよう。これぞパワースポット、かもしれない。外には出られない名人と挑戦者だが、秋保の自然からパワーをもらっていることだろう。

 東日本大震災では、秋保も山の斜面が崩れたり、建物に被害が出たりした。対局場のある旅館「茶寮宗園」も3カ月、休業して再開した。今回の名人戦には、復興する仙台、宮城を応援したい。そんな思いも込められている。

■対局再開/早くも難解な攻防

 午後1時になり、対局が再開した。山下名人はなかなか23手目を打とうとしない。昼食前から50分以上、考えている。検討陣も「これは打てないね」。というのも、まだ序盤だというのに、早くも難解な局面を迎えているからだ。

 仕掛けたのは山下名人。左上と左下の白にカカり、黒9、11のトビで力を蓄えた後、黒17と左辺星へ打ち込んだ。力自慢の名人らしく、乱戦に持ち込もうという手だ。

 一方の羽根挑戦者も「らしさ」を発揮している。白16まで左上から上辺にかけて実利で先行。左辺を大きな戦いの場にしようとする黒21に、白22ツケが強手だった。左下黒の退路を断ちながら、強気にさばこうという態度に出て、左辺で難解な読み合いが続いている。

 解説の小林覚九段は「どちらも小細工をせず、気合負けしたくないという打ち方です」と話している。

■昼食は東北の秋の味

 昼食休憩に入ったが、名人はこれまで通り、昼食はとらない。挑戦者のメニューは、仙台の秋の味、芋煮鍋がメーン。仙台では秋になると、家族や友人と川べりや公園などアウトドアで芋煮を楽しむのが休日の定番だ。

 今日の芋煮は、牛肉と里芋、ネギ、キノコ、こんにゃくをしょうゆ仕立てにしたもので、実はこれは山形風。仙台の芋煮は、豚肉でみそ仕立てが多いのだ。もっとも仙台の西方にある秋保は、山を越えれば山形市。双方の美味を楽しめるお得な土地なのだろう。

 ほかには、卵焼きと青菜のおひたし、俵飯、菊花カブ、壬生菜(みぶな)、キュウリのつけものが盛られたお重に、キノコおろしそば、デザートにはリンゴとミカンと盛りだくさん。ちなみに対局場のある旅館の昼食は1種類なので、立会人ら関係者も同じメニューを楽しんでいる。

■昼食休憩に

 山下名人が23手目を考慮中に正午を迎え、昼食休憩に入った。午後1時に再開する。

 ここまでの消費時間は名人が1時間24分、挑戦者が1時間36分。

■5回目の仙台決戦

 宮城県での名人戦七番勝負は5回目(旧名人戦をのぞく)。いずれも仙台市で打たれている。

 興味深いデータがある。過去4回の仙台対局、勝者はいずれもそのシリーズを制して名人になっているのだ。

 初開催は1986年の第11期第4局。挑戦者の加藤正夫が小林光一名人を破って4連勝し、仙台で初の名人に。2回目は95年の第20期第2局で、武宮正樹が7連覇中の小林名人に勝ち、初の名人位奪取につなげた。

 3回目は2007年の第32期第3局。前年に名人位を奪われた張栩が高尾紳路名人に競り勝ち、最終局で返り咲きを果たす。09年の第34期第4局では、張名人に勝った20歳の井山裕太が勢いに乗り、史上最年少名人へと駆け上がった。ちなみに、すべて挑戦者が勝っているのも共通点だ。

 さて、今シリーズの両対局者。羽根挑戦者にとってはうれしいデータだろうが、山下名人も持ち前のパワーでこのジンクスを打ち破りたいところ。どちらも絶対に落としたくない仙台決戦である。

■第4局始まる/名人の第一着は「右上星」

 山下敬吾名人(34)に羽根直樹九段(36)が挑戦している第37期囲碁名人戦七番勝負の第4局(朝日新聞社主催、河北新報社共催)が10日、仙台市太白区の茶寮宗園で始まった。

 定刻の午前9時、立会人の林海峰名誉天元が「時間になりました。始めてください」と対局開始を告げると、先番の名人は一息ついて右上星に第一着を打ち下ろした。挑戦者は左上小目と応じた。

 ここまで羽根挑戦者が2勝1敗と一歩リード。初防衛をめざす山下名人がタイに戻すか、羽根挑戦者が初の名人位奪取にあと1勝と迫るか。対局は持ち時間各8時間の2日制。11日夜までに決着する。

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