【伊藤衆生】第37期囲碁名人戦七番勝負の第4局(朝日新聞社主催、河北新報社共催)は2日目の11日、仙台市太白区の茶寮宗園で打ち継がれ、午後6時26分、山下敬吾名人(34)が挑戦者の羽根直樹九段(36)に163手までで黒番中押し勝ちし、2勝2敗のタイに戻した。持ち時間各8時間のうち、残り時間は山下名人が4分、羽根挑戦者が1分だった。第5局は17、18の両日、神戸市で打たれる。
名人が剛腕ぶりを発揮。迫力ある攻めを繰り出し、挑戦者を圧倒した。
左下の黒41(封じ手)からが2日目。白が左辺を生きて難解な攻防が収束したが、挑戦者には1日目の白24に後悔があり、黒の打ちやすい展開だった。
名人は黒71、75から中央白に迫ると、地合い勝負には行かず、黒81、83の強烈な攻めに出て、挑戦者に息つく暇を与えなかった。
名人は黒117で中央白を取り込み、優位を確定。右下を丁寧に受けて逃げ切り態勢に入った。上辺白140、142と踏み込まれて激しく動揺したが、黒143と譲歩し難を逃れた。最後も緩まず、下辺白を召し捕って勝負を決めた。
解説の小林覚九段は「名人本来の力強さが存分に出た一局。挑戦者の気合もひしひしと感じましたが、名人のパワーが上回りました」と話した。
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《山下名人の話》 黒39、41と突き破ったので悪くないかと思っていた。終盤、上辺を冷静に対処できて勝ちを意識しました。
《羽根挑戦者の話》 1日目がまるでダメ。実戦は最悪でした。差がありすぎたので、2日目にチャンスはなかったでしょう。
剛腕・山下敬吾本因坊が井山裕太名人を4勝2敗で破り、タイトルを奪取した七番勝負を観戦記で振り返る。ほか、挑戦者決定リーグ戦全37局(プレーオフを含む)の棋譜、朝日新聞紙上に載った記事や写真なども収録。
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