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■3枠かけ11月8日に激突
【伊藤衆生】次期名人戦挑戦者決定リーグ戦の新参加3枠を争う第38期囲碁名人戦最終予選(朝日新聞社主催)は25日、決勝進出の6人が出そろった。関西棋院勢が絶好調で、ここまで日本棋院勢を圧倒。リーグ入り3枠を独占する勢いだ。決勝は11月8日、一斉に打たれる。
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決勝の組み合わせは、小松英樹九段(45)―村川大介七段(21)、結城聡九段(40)―中野泰宏九段(35)、金秀俊八段(33)―坂井秀至八段(39)。村川、結城、中野、坂井が関西棋院所属だ。
三つのトーナメントで争う最終予選には日本棋院所属20人、関西棋院所属7人の計27人が出場。「同士打ち」を除けば、関西棋院勢の敗退者はここまで1人。決勝で結城と中野が直接対決するため、既にリーグ1枠は確保した。
9人が出場する第38期名人戦挑戦者決定リーグ戦は、前期残留者ら上位6人全員が日本棋院勢。一流棋士の層の厚さでは、まだ日本棋院勢が優位というのが現状ではある。
関西棋院勢は9期連続で名人戦リーグに棋士を送り出してきたが、第37期、結城がリーグから陥落してこの最終予選にまわったため、在籍ゼロになる可能性があった。それが一気に3分の1を占めるチャンスが巡ってきた。もし3人がリーグに出場すれば、実に36年ぶりのこととなる。
最も注目される決勝のカードは、12期ぶりのリーグ復帰をめざす小松と、初リーグのかかる村川の一戦。小松は今年、世界戦の本戦出場を果たすなど、再び脚光を浴びている。一方の村川は井山裕太本因坊(23)と比較されることも多い若手で、三大棋戦のリーグ出場経験がないのが不思議なほど。5年連続の最終予選で初めての決勝になる。
第35、36期のリーグで挑戦権争いに絡みながら、37期の不調で陥落した結城は即復帰がかかる。中野は元名人の依田紀基九段らを破り、初めて決勝へ進出した。
金も、結城と同じく前期のリーグで陥落したが、あと1勝で即復帰というところまで来た。第30期から7期連続でリーグに在籍した坂井は、前期最終予選の準決勝で金に敗れた借りを返したい。
第38期リーグは山下敬吾名人(34)と挑戦者・羽根直樹九段(36)による第37期七番勝負の敗退者をシード序列1位として、井山本因坊、河野臨九段(31)、高尾紳路九段(36)、張栩棋聖(32)、溝上知親八段(35)の5人に新参加3人を加えた9人で争われる。
■前代未聞の低段対決
関西棋院の「同士打ち」となった一戦に余正麒二段(17)―洪清泉初段(30)という前代未聞の「低段対決」があった。最終予選の出場者は七段以上がほとんどで、三段や四段でも注目される世界。両者は力のこもった戦いを演じた。
余と洪は異色の棋士。台湾棋院の棋士だった余は2009年、関西棋院に入段。今年は関西棋院勝ち星トップの31勝11敗(29日現在)を挙げている。洪は韓国出身で04年に来日。アマ名人位獲得などを経て、09年に関西棋院の「研修棋士」となり、今年5月、名人戦最終予選へ勝ち進んだ実績で「正棋士」となったばかり。棋士としてはまだ「若手」だ。
「洪の攻め、余のしのぎ」という迫力満点の一局。結果は202手完、余の白番中押し勝ちだった
剛腕・山下敬吾本因坊が井山裕太名人を4勝2敗で破り、タイトルを奪取した七番勝負を観戦記で振り返る。ほか、挑戦者決定リーグ戦全37局(プレーオフを含む)の棋譜、朝日新聞紙上に載った記事や写真なども収録。
史上最年少で名人となった井山裕太名人の初の打碁集。名人奪取までに打った17局を自ら振り返る。坂田栄男、趙治勲、小林光一ら歴代名人7人が見た井山評も。
囲碁界第一人者の張栩十段が、これまでの棋士人生で培われた、自らの勝負哲学を明かす。
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