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2012年10月31日18時46分
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囲碁名人戦七番勝負 第6局1日目ダイジェスト

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【動画】難解な局面で封じ手 囲碁名人戦第6局1日目=矢木隆晴撮影

写真:対局室の床の間に飾られた生け花と掛け軸=31日午後、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大対局室の床の間に飾られた生け花と掛け軸=31日午後、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

写真:羽根挑戦者のおやつ=31日午後、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大羽根挑戦者のおやつ=31日午後、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

写真:羽根直樹挑戦者の昼食=31日午後、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大羽根直樹挑戦者の昼食=31日午後、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

写真:あたみ石亭の本鞍馬石=31日午前、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大あたみ石亭の本鞍馬石=31日午前、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

写真:囲碁名人戦第6局会場のあたみ石亭=31日午前、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大囲碁名人戦第6局会場のあたみ石亭=31日午前、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

写真:囲碁名人戦第6局で第一着を打つ山下敬吾名人(右)。左は挑戦者の羽根直樹九段=31日午前9時、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大囲碁名人戦第6局で第一着を打つ山下敬吾名人(右)。左は挑戦者の羽根直樹九段=31日午前9時、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

図:1日目の終了図(1―46)拡大1日目の終了図(1―46)

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈8〉

対局生中継・棋譜中継はこちらから

 難解な局面で封じ手

 非常に難解な局面で封じ手となりました。

 直前の白46とソイツケたのが、挑戦者らしい非常に粘っこい手です。下辺から右辺にかけての白の大石の連絡がはっきりすると、下辺の黒石の眼形が心配ですし、右下の黒も非常に薄くなります。名人にとっては攻めていたつもりが、いつの間にか自分の方が守勢に回るという状況になりかねません。

 ここで白の包囲網を破壊する手がありそうではあるのですが、自分もかなり危険なので決行していいかどうか。決行しないならしないで、どう打っていいか、非常に難しい。封じられた次の一手はこの碁の方向性を決めるうえで、大変重要な一着になる可能性が高い。明日朝に披露される名人の構想が大変楽しみです。

■名人が封じ手

 午後5時51分、山下名人が47手目を封じて1日目を終えた。持ち時間各8時間のうち、黒番の山下名人が3時間59分、羽根挑戦者が3時間52分を使った。

 11月1日午前9時に再開し、夜までに決着する見込み。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈7〉

 挑戦者、大長考

 黒39の様子見に対し、挑戦者が44分の長考に沈みました。理由としては、おとなしく受けるのか、反発するのか、はたまた手を抜くのか、恐らくこの3通りで悩まれたのだと思います。

 第一感で目がいくのは、白26から一間にトビ上がる手です。黒の間を裂き、かつ黒39と黒15の間の薄みを狙う反発の手です。ただ、黒23から押し上げて中央へ出て行かれると、黒40と押さえ込まれる恐怖が残り、やぶ蛇になる可能性があります。

 あるいは手を抜き、右下隅の黒一間ジマリを内と外からノゾく味があります。それを決行したらどうなるか、非常に気になるところで、先に仕掛けたい気持ちもあるのですが、これもうまくいくかどうか難解です。

 プロの性分としては、ただ受けるという行為を嫌いますので、非常に悩まれたのだと思いますが、結局、白40と受け、一番素直な手に落ち着きました。ノータイムで打てる手に44分使わせただけでも、黒39と様子を見た価値はありました。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈6〉

 持ち味の出た攻防

 黒29と打たれた時に下辺黒への攻めを保留して白30と転戦したのは、右下の変化によって下辺の打ち方を決めようという、挑戦者の高等戦術です。

 これに対し、黒は白30の左上にコスんで封鎖を図れば一般的ですが、それだと白に右下で生きられることになります。それでも下辺の出切りに回れば悪くなさそうなのですが、黒31と肩をついたのはさらに良い図をめざした手。下辺の白にもたれながら、打ち込んだ白30を大きく攻めようという、名人らしいスケールの大きな手です。

 とは言っても、挑戦者も白32、34、36と一間トビ越して右辺の黒地を破りながら、何となく下辺と連絡したので、それなりの戦果を上げました。薄いながらも、名人の攻めに決め手を与えず、じっくりとついていっています。お互いの持ち味が出た攻防です。

■おやつの時間

 午後3時、両対局者におやつが運ばれた。といっても、名人はホットコーヒーのみ。挑戦者はフルーツ盛り合わせ。パパイア、キウイに、柿、ブドウと、秋の実りも盛り込まれた。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈5〉

 下辺から局面動く

 黒21、白22と互いに大場を打ち合って、じっくりとした流れでしたが、下辺黒23と臨んだ手から局面が動き出しました。

 この黒23の様子見に白24とカケたのが、アマチュアのみなさんに参考にしていただきたい手です。下辺を受ければ地になりますが、ただ受けるのは利かされ。プロはこれを嫌います。白24とケイマにカケて反発したくなるのが第一感です。

 ここで黒も23の上に押す手は非常に打ちづらい手。白に24の上へ良い方向にノビられて厚みを築かれると、右辺の黒模様が薄くなりますし、白24の一路下からの出切りも狙えなくなります。なので、黒25とツケて下辺にさばきを求めたのは、うなずけるところです。両者さすがの応酬と言えます。

■床の間に実りの秋

 午後1時になり、対局が再開した。

 対局室の床の間には「松樹千年翠」と書かれた軸。禅僧の手になる書で、「いつまでも青々とした松のように、生き生きと前向きな気持ちで、というおめでたい意味の軸です」。あたみ石亭の女将(おかみ)、尾花和代さんが解説してくれた。

 軸の前には、尾花さんがいけた秋の花。赤く色づいてきたアブラツツジ、だいだい色のスカシユリと菊、淡い紫の東洋ロマン、そこに朱色の実をつけたツルウメモドキの枝が大きく弧を描いている。「やさしい色あいで秋らしくまとめました。『実りある対局になるように』との気持ちで、実のなるツルウメモドキを入れました」と尾花さん。心づくしの花に見守られて、対局が進む。

■昼食は鴨南蛮そば

 名人はいつもと同じく、昼食はとらないで午後に臨む。挑戦者の献立は、鴨(かも)ロースと鴨肉団子に長ネギとしめじが入った温かい鴨南蛮そばに、飛竜頭(ひりょうず)と小松菜の含め煮辛子あん、いなりずし、ゆかりととろろ昆布の俵おにぎり、つけもの、デザートに梨がつく。長い戦いに備えて、おそばとご飯で腹持ちがよさそうな献立。

■昼食休憩に

 山下名人が21手目を考慮中に正午を迎え、昼食休憩に入った。午前の消費時間は、黒番の山下名人が1時間24分、羽根挑戦者が1時間36分。午後1時に再開する。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈4〉

 名人、堂々と

 挑戦者が白12、14と下辺に展開したので、次に白から黒15の一路上にケイマにカケる手が、左辺の黒に迫りながら下辺の白模様を広げる絶好点になります。それを防ぐ意味で、黒15とボウシするのは自然な手。ただ、白に受けられると地としては損な交換になるので、プロでも勇気がいる手でもあります。名人は堂々と、打ちたい手を打っている印象です。

■石の宿

 第6局の舞台となった「あたみ石亭」は、創業半世紀を超える老舗旅館。名人戦との縁は深く、今回で13回目の対局だ。最初は1977年10月、林海峰九段が4連勝で、当時の大竹英雄名人から名人位を奪取した舞台がここだった。昨年も行われ、山下名人はここで、当時の井山裕太名人に第5局目を挑んだが敗れている。今年はよい結果を出せるか。

 「石亭」の名の由来は、創業者が石の愛好家だったことによる。起伏のある敷地内には大小の石が敷き詰められ、ところどころに巨石がどっしりと構えている。京都の鞍馬で産出された「本鞍馬石」は重さ約6トンもの一枚岩。愛媛県の海岸でとれた「伊予の水石」は、何百年、何千年と波に洗われ、青みを帯びた輝きを放つ。いずれも創業者が集めた名石だ。徳川家康から家光の将軍三代に仕えた武将、大久保彦左衛門の屋敷にあったと伝えられる石灯籠(いしどうろう)もある。

 「創業者は、まず石の配置を決めて庭を設計してから、建物をつくったそうです」と、業務支配人の大門巖(いわお)さん。悠揚たる時の流れを感じさせる巨石を見ていると、めまぐるしく移り変わる世間など何のその、と思えてくる。盤前にどっしりと構える両対局者も、名石のように揺るがず、悠然とした心で、この大勝負に臨んでいるのだろう。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈3〉

 広がる碁の考え方

 左上をシマった挑戦者の白8は興味深い手です。黒に絶好の左辺割り打ちを許すので、一昔前までだとあまり考えられませんでした。白8では左辺星やその一路左の星下に構えているのが一般的でしたが、今は「割り打ちを許しても打てる」という、碁の考え方が広がってきたことを象徴するような手です。

 これに対して、名人は黒9と四線への割り打ち。これも面白いですね。昔は割り打ちと言えば三線でしたが、三線は上から圧迫されると重苦しい感じになります。これが四線だと、「軽い」という意味があります。一つ高い分、上から圧迫されにくく上に逃げやすい。さらには中央での戦いにも強いのです。

 この局面では、左辺に白石が多くある中での割り打ちなので、名人はより軽く打ちたかったということです。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈2〉

 両者、らしい布石

 本局の立ち上がり。勢力を重視する山下名人が右辺で得意の中国流に構えると、羽根挑戦者は左上、左下の星からそれぞれ小ゲイマにシマってじっくりと構えました。勢力の名人、実利の挑戦者という、両者の棋風通りの展開になりそうな雰囲気です。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈1〉

 本局のネット解説は、おなじみの武宮陽光五段が担当します。今年で9年目。対局場となっている「あたみ石亭」の検討室から熱戦の模様をお伝えします。

 「おはようございます。熱戦が続く今期の七番勝負もいよいよ第6局。ここまでシーソーゲームが続き、第5局で勝った山下名人がいよいよ初防衛にあと1勝としました。しかし、羽根挑戦者は逆境に強いことで知られます。カド番で迎えた本局をどうしのぐのか、楽しみな一番です。両対局者の碁は難しくなることが多いので、できるだけ分かりやすく解説したいと思います。どうぞよろしくお願いします」

 たけみや・ようこう 1977年、東京生まれ。98年入段(プロ入り)。2005年に五段。日本棋院東京本院所属。父は武宮正樹九段。

■名人一気か、挑戦者しのぐか/第6局始まる

 山下敬吾名人(34)に羽根直樹九段(36)が挑戦している第37期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第6局が31日、静岡県熱海市の「あたみ石亭」で始まった。

 定刻の午前9時、立会人の彦坂直人九段が対局開始を告げ、先番の山下名人が右上星に第一着を打ち下ろした。羽根挑戦者は左上星と応じた。

 第4、5局を連勝した名人が初防衛に「あと1勝」と迫って迎えた本局。名人が一気に決めるか、カド番の挑戦者が3勝3敗のタイに戻して最終第7局へ持ち込むか。対局は2日制で、持ち時間は各8時間。11月1日夜までに決着する。

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