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2012年11月1日19時41分
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囲碁名人戦七番勝負 第6局2日目ダイジェスト

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【動画】羽根挑戦者が勝利、決着は最終局へ=矢木隆晴撮影

写真:山下敬吾名人に中押し勝ちした挑戦者の羽根直樹九段(左)。感想戦で対局を振り返る=1日午後6時4分、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大山下敬吾名人に中押し勝ちした挑戦者の羽根直樹九段(左)。感想戦で対局を振り返る=1日午後6時4分、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

写真:羽根直樹九段のおやつ=1日午後、矢木隆晴撮影拡大羽根直樹九段のおやつ=1日午後、矢木隆晴撮影

写真:大正、昭和初期の建築が美しい起雲閣=熱海市、小川雪撮影拡大大正、昭和初期の建築が美しい起雲閣=熱海市、小川雪撮影

写真:羽根直樹九段の昼食=1日午後0時9分、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大羽根直樹九段の昼食=1日午後0時9分、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

写真:山下敬吾名人の封じ手=1日午前、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影拡大山下敬吾名人の封じ手=1日午前、静岡県熱海市、矢木隆晴撮影

図:〈最終図〉先番・山下名人(184手まで)91コウ取る(83)、108同(88)、119、122各同、163同(37)拡大〈最終図〉先番・山下名人(184手まで)91コウ取る(83)、108同(88)、119、122各同、163同(37)

図:1日目の終了図(1―46)拡大1日目の終了図(1―46)

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈10〉

対局生中継・棋譜中継はこちらから

 挑戦者、光った形勢判断/いよいよ最終局へ

 非常に見応えのある、面白い一局でした。

 1日目、右辺白30の打ち込みに対し、黒31と肩をついて下辺の白石にもたれながら大きく攻めようとしたのが山下名人らしい骨太の構想。ただ、白36までトビ越され、右辺と下辺の白が何となくつながってみると、右下の黒が意外に薄くなったところに名人の誤算があったのかもしれません。局後の名人の感想でも、ここでの折衝に不満があったようにおっしゃっていました。

 2日目に入り、右下白54が先手で利いたのが大きなポイントで、黒61から強引に切断にいったのは、やはり名人が非勢を意識していたためのようです。

 その後、この中央の戦いで白が的確に打ち進め、白108で単に112と打っていれば分かりやすく優勢だったでしょう。下辺の白の大石をにらみながら黒137と上辺に打ち込まれたあたりでは、白も気持ちのいい局面ではなかったと思いますが、上辺の白石を捨てて白144と下辺黒に迫りながら中央を補強したのが、挑戦者のすばらしい判断でした。この明るい形勢判断が難解な局面を勝利へと導いた決め手になったと思います。

 一つ間違えば勝敗はどちらに転んでもおかしくない、白熱したすばらしい碁でした。

 泣いても笑っても最終の第7局を残すのみ。最高の形で迎えた大一番にぜひご注目ください。2日間にわたってご覧いただき、ありがとうございました。

■羽根挑戦者が勝ち、3勝3敗/決着は最終局へ

 静岡県熱海市の「あたみ石亭」で打たれていた第37期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第6局は

1日午後6時、挑戦者の羽根直樹九段(36)が山下敬吾名人(34)に184手までで白番中押し勝ちし、対戦成績3勝3敗で並んだ。持ち時間各8時間のうち、残りは黒番の山下名人が9分、羽根挑戦者が10分。

 名人の初防衛か、挑戦者の初栄冠か――。今シリーズの決着は最終第7局に持ち越された。第7局は12、13日に甲府市の常磐ホテルである。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈9〉

 挑戦者が勝勢

 黒137の打ち込みに対し、白が138から143までを決めて、白144と下辺の黒に迫りながら自身の大石を補強した手が、形勢判断に明るい挑戦者らしい好手でした。

 白148のノゾキから黒の形を崩し、白154、156と上辺の白三子を捨てたのが勝因にもなりそうな好判断です。白152、158と左辺のえぐりに回って黒の眼を奪いながら白の大石の安全を確かめた打ち方は、まさに、挑戦者らしい力強いしのぎ。地合いではっきり白がリードしました。挑戦者のお見事な形勢判断でした。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈8〉

 いよいよクライマックスへ

 白132までとなって右辺の白ははっきりと生きました。下辺から中央にかけての白の大石はというと、下辺に絶対の一眼、右辺に後手一眼なので、中央に眼(め)ができずに包囲されると、右辺の眼をつぶされて死んでしまう可能性があります。

 それをにらみながら黒137と打ち込んだのは、名人のさすがの高等戦術。白の大石に対する利き味がいろいろとあるので、白は上辺で抵抗がしづらい形です。無傷でしのげればもちろん白が勝ちますし、白の大石が取られれば黒の勝ち。あるいは白の大石が生きても上辺で黒が大きな得をすれば、地合いで黒が勝つ可能性もあります。

 いよいよ最後の勝負どころを迎えました。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈7〉

 挑戦者に疑問手か

 白102からの出切りを敢行して挑戦者が決めにいったかと思われた矢先、白108とコウを取った手が疑問手のように思います。この手では単に白112と出て白Aの切りを残している方が勝りました。実戦は白108と取ったため、黒109に石が来て自動的にその切りが解消されてしまいました。

 実は、検討室では白108で単に白112と打っていれば「はっきり白優勢」との見解でしたが、この白108で「黒も元気を取り戻したか」との声も上がっています。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈6〉

 挑戦者、最強の応戦/緊迫した局面へ

 黒101で右辺の黒は完全に生きました。ただし、白に94、96と右辺を突き破られているので、地としては大変な損をしています。黒としては右辺の白、あるいは下辺から中央にかけての白石のどちらかを取るぐらいの勢いでなければ、厳しい状況です。

 白としては、この二つの大石に生きがあれば良さそうなので、安全に生きだけのことを考えてもおかしくないのですが、挑戦者は白102、104の出切りという最強手で応戦。この碁を決めにいった感があります。

 この出切りによって、戦いは一気に加速。局面はいよいよ緊迫してきました。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈5〉

 名人急襲、勝負どころへ

 白80に対し、右辺を受けるのでは「形勢、良からず」と見て、名人は40分の長考の末、黒81と急襲しました。白の形を崩す急所ですが、当然白82から反発を受けますし、白からの右辺のオサエ(94)を残しての戦いですので、非常に心配ではあります。

 一つの大きな勝負どころを迎えた感があります。

■午後3時、名人にホットコーヒー、挑戦者にはフルーツ盛り合わせが運ばれた。グレープフルーツの皮を花形に切り抜いた中に、梨、キウイ、メロン、パパイア、グレープフルーツが入っている。木の葉をかたどったメロンの皮も添えられ、造形作品のようにカラフルで華やかな一品だ。目にも楽しいおやつは、挑戦者にいいインスピレーションを与えるだろうか。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈4〉

 名人、強引に切断/一気に険しく

 昼食休憩が終わり、午後最初に打たれた名人の黒61は、検討室も驚愕(きょうがく)の強手でした。今までじっくりとした展開でしたが、これをきっかけに一気に険しい局面を迎えました。

 白60と臨んだ手は割と軽めに右辺黒模様を消しにいった手なので、通常は受けてもそれほど腹が立たない感じです。しかし、一回受けると白60が軽くなる(価値が小さくなり、場合によっては捨ててもよい石になる)ので、受けをはぶいて切断しにいったのは名人らしい厳しい発想と言えます。

 ただし、かなり強引な切り方で、切りにいった自身の石も強いわけではなく、また自陣に追い込んでの戦いなので、これを決行するのはとても勇気のいる決断だったと思います。この手を見るに、名人は「形勢、容易ならざる」と見ているのではないかと推測されます。

■熱海は小春日和

 今日の熱海はぽかぽかした小春日和。避寒地だけあって、日差しも心もち東京より強く感じられる。

 対局が行われている石亭の敷地内は静寂に包まれているが、5分ほど歩くと、住民や観光客が行き交う熱海の商店街に出る。さらに5分ほど行ったところにあるのが、熱海市指定文化財の建築「起雲閣」だ。

 約3000坪の敷地に、美しい木造和風建築や洋館が建つ。もともとは、1919(大正8)年に当時の海運王・内田信也が建てた別荘。昭和に入って東武鉄道創設者の根津嘉一郎が入手して建て増しし、戦後は旅館に。ハイカラな雰囲気のサンルームやローマ風浴室もあり、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治ら多くの文人が滞在したという。2000年に熱海市の所有となり、現在は一般公開されている。曲水が流れる芝生の庭にはゆったりした時間が漂い、観光客らが盛んに記念写真を撮っていた。

 そんなのどかな小春日和の熱海だが、対局室ではいよいよ激しい戦いに。栄光の輝きが差し込むのは、果たしてどちらか。

■対局再開

 午後1時になり、対局が再開した。午前中の落ち着いた展開から一転、右辺から激しい戦いに突入した。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈3〉

 挑戦者の小技さえる

 白52のスベリから白54と打った手が、いぶし銀の好手でした。白54は部分的にも白の眼形を確かめながら地としても大きな手です。さらに右下隅の黒53の二路下にオク厳しい狙いがあるため、名人は黒55とオサえましたが、先手で白54を打たれた形で、黒としては非常につらい。挑戦者の小技がさえ、ポイントをあげたように思います。

■挑戦者はそば好き?

 正午になり、お昼ごはんの時間に。とはいえ、名人はやはり食べない。シリーズを通じて昼食をとったことはなく、セオリーになりそうだ。

 挑戦者の今日のメニューは、温かいそばに天ぷら盛り合わせ。天ぷらはエビとカンパチ、シシトウ、アスパラガス、しいたけ。メカブおろしの小鉢と、デザートに柿がつく。挑戦者の昼食は昨日もそば。緊張した時間が流れる対局中は、つるっと食べやすいそばがお気に入りなのかも。

■昼食休憩に

 山下名人が61手目を考慮中に正午になり、昼食休憩に入った。持ち時間各8時間のうち、消費時間は黒番の山下名人が4時間49分、羽根挑戦者が5時間58分と、1時間以上の開きがある。午後1時に再開する。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈2〉

 両者じっくりとした展開

 封じ手からの名人の石運びは慌てず騒がず、といった感じです。じっくりと打ち進めています。一方の挑戦者も息を合わせるかのように、じっくりとついていっています。

 ただ、白の大石と下辺の黒石はともにまだ、はっきりとした眼(め)がないので、両者とも自分の石に気をつけ、相手の石をにらみながらの戦いになります。じりじりと互いの間合いを測る神経戦の様相を呈しています。

★武宮陽光の目@あたみ石亭〈1〉

 冷静沈着な封じ手

 おはようございます。武宮陽光です。昨日に引き続き、名人戦第6局の模様をお伝えしていきます。どうぞよろしくお願いします。

 現地の検討室では、白の包囲網を無理やり突破する、かなり過激な手が検討されていましたが、封じ手は右下の黒をじっくりと守る黒47の一間トビでした。昨日も申し上げましたが、白から右下隅の一間ジマリに右側からノゾき、黒が遮ればさらに左側からノゾく厳しい手段がありましたので、それに対する備えであると同時に、白の眼形も奪っています。

 昨日の検討室の雰囲気では、対局再開早々、激しい戦いが起こるのではと色めき立っていましたが、それに反して落ち着いた展開になるかもしれません。

■2日目始まる

 決戦の朝を迎えた。空は穏やかに晴れ渡り、11月初日の空気は澄み切っている。旅館から遠く望む相模湾も静かだ。

 山下敬吾名人(34)に羽根直樹九段(36)が挑戦している第37期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第6局は1日朝、静岡県熱海市の「あたみ石亭」で再開され、2日目に入った。

 定刻の午前9時、両対局者が1日目に打たれた46手目までを並べ直し、立会人の彦坂直人九段が封じ手を開封した。山下名人の封じ手黒47は右下「14の十七」だった。

 初防衛まで「あと1勝」としている名人がここで決めるか、挑戦者が踏ん張って最終局に持ち込むか。佳境に入った今シリーズ第6局は1日夜までに決着する。

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