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2012年11月12日19時23分
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囲碁名人戦七番勝負 第7局1日目ダイジェスト

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【動画】第7局1日目の様子=長島一浩撮影

写真:常磐ホテルの2階に掲げられている囲碁名人戦の写真=12日午後、甲府市、長島一浩撮影拡大常磐ホテルの2階に掲げられている囲碁名人戦の写真=12日午後、甲府市、長島一浩撮影

写真:対局する挑戦者の羽根直樹九段(中央左)と山下敬吾名人(中央右)=12日午後、甲府市、長島一浩撮影拡大対局する挑戦者の羽根直樹九段(中央左)と山下敬吾名人(中央右)=12日午後、甲府市、長島一浩撮影

写真:対局室に出されたお菓子=12日午後、甲府市、長島一浩撮影拡大対局室に出されたお菓子=12日午後、甲府市、長島一浩撮影

写真:検討室で第7局の様子を映すモニターを見る人たち=12日午後、甲府市、長島一浩撮影拡大検討室で第7局の様子を映すモニターを見る人たち=12日午後、甲府市、長島一浩撮影

写真:囲碁名人戦第7局の昼食=12日午後、甲府市、長島一浩撮影拡大囲碁名人戦第7局の昼食=12日午後、甲府市、長島一浩撮影

写真:囲碁名人戦第7局で第一着を打つ挑戦者の羽根直樹九段。右は山下敬吾名人=12日午前9時1分、甲府市、長島一浩撮影拡大囲碁名人戦第7局で第一着を打つ挑戦者の羽根直樹九段。右は山下敬吾名人=12日午前9時1分、甲府市、長島一浩撮影

図:1日目の終了図(1―55)拡大1日目の終了図(1―55)

★ひろふみの深読み〈6〉/嵐の予感? 名人の封じ手に注目

対局生中継・棋譜中継はこちらから

 1日目はお互い丁寧に打ち進め、それぞれ力をためている印象でした。丁寧といえば、挑戦者の時間の使い方でしょう。黒41コスミツケに1時間1分、黒53トビに44分を使っていますが、どちらもごく自然な手。長考を重ねた末に、当たり前の手を積み重ねるところに迫力を感じました。

 黒55とトビマガったところで封じ手となり、名人は本局最長の1時間2分を費やして封じました。局面が広く、いろんな手が考えられる場面ですので、名人は悩んだのでしょう。

 上辺と下辺の黒がつながれば、白は右上、左上、左辺と弱い石が多くなり、私の見た目ではやや挑戦者が打ちやすいかなという気もします。ただ、名人は誰も気づかない妙手をこれまで何度も繰り出してきました。このまま何事もなく終盤を迎えることはないでしょう。嵐が起こりそうな予感がします。

 まずは名人の封じ手に注目です。2日目も朝から目が離せません。明日もよろしくお願いします。

■山下名人が封じ手、1日目終える

 午後6時6分、山下名人が56手目を封じて最終第7局の1日目が終わった。持ち時間各8時間のうち、黒番の羽根挑戦者が4時間15分、山下名人が3時間51分を使った。

 対局は13日午前9時に再開し、夜までに決着する。

■名人戦の歴史を刻む

 常磐ホテルで名人戦が打たれるのは今回で9回目。ホテル2階の廊下には、1997年の趙治勲名人に小林光一世界選手権者(いずれも当時)が挑んだ第22期名人戦から、2008年、張栩名人に井山裕太八段(同)が挑んだ第33期までの8枚の対局の写真が、額に入って飾られている。

 同じ壁には、多くの棋士を育てた故・木谷実九段の追悼碁会の色紙もかけられている。常磐ホテルの先代の社長が大の囲碁ファンで、知人を介して入手したそうだ。少し先の壁には、森内俊之名人と羽生善治三冠(いずれも現在)が戦った2011年と2008年の将棋名人戦の写真も。

 多くの名勝負の舞台となった場で、山下名人と羽根挑戦者の一局は、どのような歴史を刻むのだろう。

★ひろふみの深読み〈5〉/長期戦の様相

 白46から戦いの場は右上から上辺へ。黒47にめいっぱいに詰めた白50は頑張った手です。普通は右上白46、48の二子が忙しくなるので、もう少し左寄りに控えるのですが、遠く左辺白の一団への援軍の意味も兼ねています。

 つかず離れずといった感じの戦いが続いていますが、両者とも確定地は多くないので、まだまだ先は長そうです。

 ところで、午後になって、(1988年に現役を引退した)白鳥澄子五段が検討室に来られました。御年93。とてもお元気で、白50、黒51、白52をぴたりと当てられました。すごかったです。

■午後3時、対局室におやつの「みのぶまんじゅう」と柿、ホットコーヒーが運び込まれた。みのぶまんじゅうは、甲府市の南西、日蓮聖人ゆかりの身延山久遠寺で知られる身延町の名物だ。口に入れると、皮に練り込んだみその塩味がほんのりと感じられ、熱いお茶がほしくなる。柿は甲府の隣の石和産と、地元産にこだわった。名人はホットコーヒーのみの注文だったが、せっかくならばと両対局者に出された。

 甘いものは、朝の対局開始時にも出された。これも甲府でよく食べられているという「くろ玉」。文字どおり見た目は真っ黒だが、切ると中は淡い青緑色で、コントラストがきれい。青えんどう豆のうぐいすあんを、黒砂糖の薄いようかんで包んだものだ。

 「山梨のおいしいものを食べて、対局で力を出してほしい」とのホテル側の心づくしは、両対局者にもきっと届いているだろう。

★ひろふみの深読み〈4〉/名人重厚、挑戦者軽やか

 結局、挑戦者は約1時間の長考の末、黒41とコスミツケました。先ほども言いましたが、この手はすぐにでも打てる手です。長考の理由は聞いてみないと分かりませんが、普通の手に時間をかけるところに挑戦者の並々ならぬ気合を感じます。

 名人も時間をかけ、一手一手の石運びがすごく重厚。白44まで下辺白の根拠を確保しつつ、下辺黒の根拠を奪いました。

 挑戦者の中央黒45は軽やかな一手。下辺に力を入れる名人の力点をかわし、逆に左辺白をにらんでいます。これを見た名人は右上白46と大場に回り、互いに不満のない展開のようです。午後に入ってから数手しか進んでいませんが、両者の持ち味が出ていると思います。

■紅葉に包まれて

 今日の甲府は、冷たい雨が降った昨日とは打って変わってぽかぽか陽気。常磐ホテルには800坪もの日本庭園があり、朝から散策する人たちの姿が見られた。

 松や芝生の緑に、紅葉の赤や黄色が交じり合う色の協奏は秋ならではの美しさ。石組みの滝から水が勢いよく流れ落ち、たっぷりと水をたたえた池では、コイが悠然と身をくねらせる。

 庭の中央のあたりには紅葉したケヤキの大木がどっしりと立ち、存在感を放つ。「今年は残暑が長かったので、色づきが悪いのではと心配していましたが、きれいに紅葉してよかったです」と女将(おかみ)の笹本かほりさん。対局室からは、紅葉したハナミズキの鮮やかな赤い葉が、両対局者の目に映っているはずだ。

★ひろふみの深読み〈3〉/名人、下辺黒にらむ

 午後1時、対局が再開されました。まもなく打たれた名人の白40はヒキでした。下辺の白を封鎖されないよう丁寧に打った手で、下辺の黒との戦いを重視する手でもあります。

 ここで挑戦者の対応は悩ましいところ。持ち時間の少ない碁だと、黒Aのコスミツケを打ちそうですが、下辺白に悠々と中央へ進出されてしまいます。いいかどうかの判断は難しく、じっくりとした戦いが予想されます。

■昼食はやっぱり……

 名人はやはり、昼食をとらずに休憩に入った。これも定石か。挑戦者のメニューは、あたたかいそばに、エビとなすの天ぷら、ヤマゴボウとかんぴょうののり巻き、ホウレンソウのごまあえ。デザートにオレンジとキウイが添えられた。

 シリーズを通して挑戦者の昼食はそばが多く、そばのおいしい山梨での対局はうれしいところかも。戦いのさなかで、じっくり味わうどころではないだろうが、土地の恵みをいただき、力をたくわえているはずだ。

■昼の休憩に

 正午になり、名人が40手目を考慮中に昼食休憩に入った。午前中の消費時間は、挑戦者が1時間37分、名人が1時間23分。午後1時に再開する。

★ひろふみの深読み〈2〉/両者がっぷり四つ

 左下白4の小目に黒5とカカって、黒35まで大型定石になりました。手数をかけて決まり切った形になる大型定石が決定局で現れるのは珍しいです。お互いこの進行を選んだあたり、両者がっぷり四つの展開と言えるでしょう。

 次の36手目から改めて布石のやり直しか、と思われましたが、名人は下辺へ白36と厳しい手を選びました。これは下辺の黒を挟んで攻めようという手です。一気に激しくなっていくかもしれません。

 最終局となると、堅実に地を取り合う展開になりがちですが、両対局者は思いきった手を打っています。気合がほとばしる、面白い碁になりそうです。

■9回目の常磐ホテル

 山梨県内で名人戦七番勝負が開かれるのは、旧名人戦を含めて10回目。現名人戦になってからの9回は、すべて常磐ホテルで打たれている。

 山下名人は9年前の2003年、ここを訪れている。当時の依田紀基名人に挑戦した第28期の第5局だ。この時は依田名人に敗れ、この場所で防衛を許している。苦い思い出なのか、前日の対局室検分の際に当時の記憶を尋ねられた山下名人は「覚えてないですね」と苦笑していた。

 ただ、過去8回の常磐ホテルでの対局は、第23期の無勝負をのぞき、いずれも「名人」が勝利を収めている。あくまで偶然だが、山下名人としては心強いデータかもしれない。しかし、一方の羽根挑戦者も最終局にはめっぽう強いだけに、このジンクスは打ち破りたいところ。両者譲れない最終決戦である。

■すがすがしい朝

 最終局の舞台は、甲府駅から車で10分ほどの湯村温泉郷にある常磐ホテル。1929(昭和4)年の創業で、戦前から、山梨を訪れる皇室関係者が多く泊まっている高級ホテルだ。1947(昭和22)年には、各地を巡って民衆と交流し、「神から人間へ」を印象づけた昭和天皇の全国巡幸の宿にもなった。

 12日朝は、前夜の強い雨があがって陽光が差し、離れにある対局室はすがすがしい空気に包まれていた。大きなガラス窓の向こうには芝生の日本庭園。水を浴びた松やツツジの緑はみずみずしく、紅葉がちょうど見ごろを迎えている。

 さわやかな静寂と、これが最終局という緊張感の中、両対局者は対局室に入ってきた。両手の先までぴんと伸ばして歩を進めた山下名人、ふわりと柔らかな物腰で腰を下ろした羽根挑戦者。両者とも、心もち高揚してみえる。

 残暑厳しい8月の末から始まった名人戦も、秋深まり、いよいよ最終局。この1局を制するのは果たしてどちらか――。

★ひろふみの深読み〈1〉/独特の緊張感

 第7局のネット解説は大橋拓文五段が担当します。今年で2年目。対局場の隣室に設けられた検討室から、独自の深読みを交えつつ、熱戦の模様をお伝えします。

 「おはようございます。いよいよ大一番の第7局が始まりました。やはり最終局ですので、独特の緊張感があります。第6局まではわりと短手数で終わりましたが、本局は長くなりそうな予感がします。願望も込めてですが、あっさり終わらない、終わってほしくないと思います。両者の熱戦をわかりやすくお伝えしますので、どうぞよろしくお願いします」

 〈おおはし・ひろふみ〉1984年、東京生まれ。2002年にプロ入り。10年、第1回おかげ杯準優勝。11年に五段。著書に「大橋流パワーアップ詰碁400」など。日本棋院東京本院所属。

■最終決戦はじまる

 山下敬吾名人(34)の初防衛か、挑戦者・羽根直樹九段(36)の初奪取か――。3勝3敗で迎えた第37期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の最終第7局が12日、甲府市の常磐ホテルで始まった。

 定刻の午前9時、立会人の王立誠九段が「時間になりました。握ってください」と静かに対局開始を告げた。改めて「握り」をおこなった結果、羽根挑戦者が先番に決まり、気息を整えて第一着の黒石を右上小目に打ち下ろした。山下名人もほどなく左上星に白石を置いた。

 8月末に始まった七番勝負も、この一局を残すのみ。対局は2日制で持ち時間は各8時間。名人位のゆくえは13日夜までに決まる。

 〈やました・けいご〉北海道旭川市出身。1993年プロ入り。2000年に碁聖、03年に棋聖を奪取。06年から棋聖4連覇。10、11年には本因坊を2連覇し、「本因坊道吾(どうわ)」の号を名乗った。昨年、8年ぶりの挑戦で名人を奪取し、史上7人目の「名人本因坊」になった。日本棋院東京本院所属。

 〈はね・なおき〉三重県志摩市出身。1991年プロ入り。2001年から天元3連覇。04、05年にはいずれも最終局までもつれる激闘の末、棋聖2連覇。08年、3連敗からの4連勝で本因坊を奪取し、翌年、初防衛を果たす。11年、碁聖奪取。今年、名人に初挑戦。日本棋院中部総本部所属。

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