< 第29期名人戦挑戦者決定リーグ第16局 >
●山下敬吾 九段
対
○趙治勲 25世本因坊
51〜88手
余裕の修正
石田章解説者が本局でいちばん気になった局面がここ。黒51にどんな返し技があるか。趙の長考を予感して、解説者はちょっと早い夕食へ。食事中もこの場面が頭から離れなかったらしい。とうとう電話で「どう打った」と聞いてきた。
趙はいちばん平凡な白52のグズミを選んだ。期待はずれではない。37分間じっくり読みを入れた成果はこのあとの展開であきらかになる。その前に、白52の変化を確かめておこう。
趙は参考図の白1で、7までの振りかわりを目指す予定だった。ポン抜きの方向が絶好で白に不満はないように思える。しかし黒8で右上は味よく黒地。これが採用をためらった理由だ。
石田「白aが利けば白bなどの嫌がらせが効果的なんですが、黒に手を抜かれます。白cには黒d、白e、黒fで何事もありません」
予定は変更したものの、趙の足取りは乱れない。白54、56のコンビネーションはさすが。上辺黒を脅しながらしのぎの調子を求めている。
以下はざっと手順を追って欲しい。逃げながら右辺を白70から76と利かし、たどり着いた先の下辺では白地形成の重要な役割を果たしている。中央黒地もまとまったが、右辺から左下の白地にはとうてい及ばない。
[次の譜へ]
(松浦孝仁)
2004年5月4日
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