1〜25手
悲しみを越えて
1月6日は新年の初対局日。いつもは緊張した中にも華やいだ空気につつまれる日本棋院も、重苦しさが支配するだけだった。1週間前に日本棋院理事長の加藤正夫九段を失った悲しみは、誰の胸にも共通している。
この日は通夜。席上、弟デシの武宮正樹九段は号泣したという。記者が参列した翌日の告別式でも、目をはらした人が多かった。これほどの哀惜をもって送られた棋士もいないのではないか。
しかし、盤上では悲しみを追い払わねばならない。まして新年の第一局だ。挑戦あるのみの依田ははずみをつけるため、小県はリーグをかきまわし、自身が浮上するためにも負けられない。
新年のあいさつはなく、一礼して対局開始。「花の昭和55年入段組」で藤沢秀行名誉棋聖の合宿でも長いあいだ一緒だった。東京と中部に分かれていても、気ごころの知れた仲だ。関西の今村俊也も同じ。実績は大きく依田に後れをとったものの、これから追いかけても遅くはあるまい。
黒番依田は先行策。10年ほど前までは、黒19で20に挟撃するか、黒Aとカケて中央を厚くするのが主力だったが、いまは手抜きによる足の早さが重視されている。
対する小県は白22、24に合計30分をついやし、つかず離れずの待機策。
「辛抱しましたね。利かされ気味なので、ほかの手を選びたい気がするけれど、白Bではぬるそうだし、白Cとハサむのでは黒Dかその下に動かれ、忙しくなるのを嫌ったのでしょう」と、武宮解説者。
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(春秋子)
2005年02月08日