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< 第30期名人戦挑戦者決定リーグ第16局 >
●王銘エン 九段
対
○小県真樹 九段
1〜23手
「せっかくだから」
対局が始まって30分しかたっていないのに、王はすでにぼやき始めていた。ぶつぶついいながら打たれた黒9には、我が目を疑った。ハサミもないのに、トンだのだ。
「ほう、初めて見たね」と林海峰名誉天元。小林覚九段は「おもしろいねえ。大一番でこんなことやれるのは、世界中で銘エンさんだけでしょう」。「怖くてとてもマネできません。次に白からAなど、二間トビから離れて割り打たれると甘くなります」と解説役の楊嘉源九段。黒9が働くか甘くなるかが、勝負の鍵をにぎっている。下辺がいそがしくなった。王は黒11と肩をつき13にハネ、どんどん盛り上げていく。白22でAに入っていくのは、時期尚早だ。黒Bと迫られては、白がつらい。下辺を黒に囲ってもらってから荒らす方が、効率がいい。
「どうやるんだろうねえ」と首をかしげながら、王は黒23へ。これも王の説く「ゾーンプレスの構えだね」と石田章九段。それにしても怖い姿だ。ほとんどの黒が下辺に集結しており、ここまで資本をかけて、荒らされたらそれで終わり。黒23で一路低くCだと、白Dの打ち込みやEの肩つきを両方見られ、かえって黒は薄い。
王「僕も悩ましいのよ。せっかくだからね。この格好なら、23しかないと思った」
王が席をはずすと、小県は下辺を見つめながら「それって地ですか。地なんですか」とつぶやいた。いきなり勝負どころを迎えた。もう下辺に突入していくよりない。
(内藤由起子)
[次の譜へ]
2005年04月26日
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