1〜25手
並べたくない
負けた翌日は敗因を探す。徹底的に分析し気持ちを落ちつかせる。こんな習性が棋士にはある。
本局を坂井は半目差で落とす。同じ関西棋院の結城聡九段は解説の参考のため、対局後に連絡をとった。返ってきた答えは意外なものだった。
結城「まだ一度も並べていないというんです。もちろん、サボっていたわけではない。悔しさ、ショックの表れです」
立ちあがりは黒の黄が積極的に動いた。黒番で7、9の展開は珍しい。白に10と隅を与え、コミの負担がきつくなる。白12とカカられたときも少々中途半端。黒13では隅のガードが甘い。
もっとも、黄は百も承知。上辺から右辺に力をためて、きついパンチを狙っている。コミが6目半になり、黒番ではゆっくりしていられないとの考え方が広まっている。
したがって、白14に黒15は絶対。これで黒22、白A、黒Bは上辺に黒石が偏りつまらない。しかも白が望む、ゆったりした流れになる。
当然の白16、18に黒19もこの一手。黒Cも形に見えるが白Dがピッタリになる。白20でDを急ぐのは黒Eで困る。そのための黒19だ。
結城「このあと形勢が動きます。黒21から25の構想がどうだったでしょう。黒21ではDがまさったと思います」
この形なら黒21からの出切りが成立する。白が21と備えれば黒Fからハネツげばいい。
優勢確立のチャンスと坂井は感じ取った。しかし、思えばここから白の悪い流れは始まっていた。
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(松浦孝仁)
2006年05月10日