1〜36手
絶賛のトビ
「碁聖」を失い、およそ6年ぶりに「九段」となった依田の初戦。無冠になったのを気にしている様子は全くない。
前局の山田規三生―坂井秀至戦のふたりと同様、依田は勝てば高尾紳路―潘善キ戦の結果いかんで挑戦者同率決定戦に臨める可能性がある一方、敗れればリーグ落ちもあり、負けられない。
リーグ序列上位の山下は、残留はすでに決定。本局に勝てば、挑戦の目も消えていない。
両者とも初手から考慮時間を小刻みに使う。
黒11のハサミに白が12とトンだのを、依田は局後、絶賛した。「いい手だったね。白14とカケていって、碁が広い。12で28のツケなら、黒がいいと思っていたよ」
黒23のハネ込みから27と白1子をもぎとっても、白28のツケ味がなんともいやらしい。「黒Aにハネるのは、それだけで利かされだから」と黒は29にサガったが、すぐ白30と動かれる手段がある。
すでに白が打ちやすそうに見えるのは、黒13に原因があると、解説の溝上知親八段はいう。「ケイマは足が速いけれど、白からいろいろ手段がありそう。13では34のコスミがよかったと思います」
30にノゾキが利いているので筋違いのようにみえる。けれど、白14から黒27まで同じ進行をたどったとき、今度は28にツケられないので地にからい。黒は不満のない分かれになるという。
コスミなら白は14とはカケづらいが、かといってどうしたものか悩ましい。
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(内藤由起子)
2006年09月22日