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第31期名人戦七番勝負 第5局

 【10月18、19日 わかつき別邸(静岡県伊東市)】  
●高尾紳路 本因坊   対   ○張栩 名人

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日程七番勝負第5局フォトギャラリー

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封じ手を収めた封筒を確認する立会人の小林覚九段

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1日目の対局を終え、碁盤をはさんで深々と礼を交わす張名人(右)と高尾本因坊(左)

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NHK衛星放送の番組で聞き手をつとめる林芳美さん。碁盤を前に、夕方の中継 の準備に余念がなかった

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検討室でさまざまな変化をつくり、局面を検討する趙善津九段(左)と武宮陽光五段。実戦が早い展開のため、検討陣も大忙しだ

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咲き誇る十月桜。まるで春のような眺めが広がっていた

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2階にある対局室の窓の外には、緑豊かな日本庭園が広がる

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両対局者の昼食メニュー。わかつき龍宮ごはん(鯛の炊き込みごはん)、長ナスの伊豆味噌炒め、春菊・黄菊のおひたし、伊東錦秋そば(きのこそば)、秋野菜の浅漬け。デザートは紫芋のチーズケーキ

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第一着を打ち下ろす高尾本因坊

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対局開始を待つ両対局者。室内には張りつめた空気が漂った

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対局室に入る高尾本因坊

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対局室に入る張名人

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石の感触を確かめる高尾本因坊

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対局室検分で先に室内に入り、笑顔を見せる張名人

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立会人の小林覚九段。両対局者に不自由がないか、こまやかに気配りしていた

  1日目 | 2日目

趙善津九段「速く打つのは怖かった」

 打ち掛け直後、元本因坊の趙善津九段は、6、7年前の自身の七番勝負の経験を重ねて、次のように語った。

 「持ち時間8時間といっても、考え出すとキリがないので、そんなに長くはないんですよ。ぼくは速く打つのは怖かった。なぜかというと、1日目で形勢が傾く可能性もあるので、どうしても慎重になるんですね」

 今シリーズの名人と挑戦者は、着手のテンポが大変速い。

 「2人の碁は勝負所が終盤にくるので、時間を終盤に残しておきたい心理に加え、2人とも自信を持っているので速く打てるのでしょう」

(10/18 18:15)

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驚異的なスピード

 1日目から、大変早い進行になりました。

 序盤早々、右下から戦いが始まり、それが碁盤右半分に及びました。その結果、前局はお互いの棋風の逆の展開になりましたが、今回は本来の両対局者の棋風通り、お互いの持ち味の出た展開となりました。

 明日は、中央の黒模様と左下の白の地が、お互いどれだけまとまるかが勝負になります。局面が大変進んでいるので、これからの着手は、ある程度見通すことができ、趙善津九段は「今晩は眠れない夜になるのでは」と、両対局者の心境を推し量っていました。今晩の両対局者の構想が、明日の盤上にどう表れるか、とても楽しみです。

(10/18 18:06)

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実利対厚みの争い、早くも大ヨセの様相

 静岡県伊東市の「わかつき別邸」で18日始まった第31期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は、同日午後5時30分、白番の張栩(ちょう・う)名人(26)が100手目を封じて1日目を終えた。19日午前9時に再開する。持ち時間各8時間のうち、消費時間は名人3時間13分、挑戦者の高尾紳路本因坊(29)は4時間17分。

 序盤に右下で始まった戦いは、次第に右上へと移動。昼の休憩後に名人が白48とハネ出し、白が隅の地を稼ぐ変化となった。さらに左下白68と守って三つ目の隅を確保し、名人の実利対挑戦者の厚みという争いになっている。

 名人は白74から84と上辺に侵入。挑戦者は黒85から攻めながら、黒93、97と中央を拡大した。

 解説の趙善津九段は「早くも大ヨセの様相と言えます。2日目は中央の黒模様と左下の白地のまとまり具合が勝負です」と話した。

(10/18 17:37)

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様子見のツケ一本

 黒95のツケは、白の受け方によって中央の打ち方を決めようという、高等手段です。白が、2の十七と隅からオサエると、黒3の十五のハネアゲに白4の十六と棒ツギになり、左上からの白の一団の攻めに役立つ可能性があります(左上の一団の眼が、まだはっきりしていない)。

 実戦は、その一団の石を考慮して、手厚く辺の方からオサエました。これですと、3の十七にハネアゲて隅を荒らすアジが残る可能性があります。それを横目に、黒は97と中央経営に乗り出しました。1日目にして、早くも勝負どころを迎えそうです。

(10/18 17:25)

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テレビ出演者の「聞き手ノート」

 第5局のNHK衛星放送の中継番組の聞き手は林芳美さん。林海峰九段の長女でアマ六段、テレビの囲碁番組でおなじみの顔だ。

 今年は5月の本因坊戦第1局、札幌での開幕戦を担当して以来のテレビ出演である。その時も解説は今回と同じく淡路修三九段だった。

 「第1局の担当は緊張しますね。私は第2局か3局が好きです。今回の第5局ともなると、煮詰まってきて、少し息苦しいというか…。淡路先生は何を聞いても、すぐ反応が返ってくるので頼もしいです」

 テレビ中継の聞き手の経験は、もう7、8年になる。

 「初めのころは、放送時間内にきちっと終わらせることができず、話している途中にプチッと終わったこともあるし、中継が始まった直後に突然言葉が出なくなった経験もあります」

 NHK番組の聞き手担当者は、自分が担当した中継の反省点などを書き込んで、次の担当者に渡す引き継ぎ用の「聞き手ノート」があるらしい。「今回の名人戦シリーズも色々あったようで、身が引き締まります」

(10/18 16:14)

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秋に咲く「十月桜」

 対局会場のわかつき別邸からほど近い川のほとりに、秋も深まるこの時期に見ごろを迎える桜がある。市内各所でさまざまな桜を見られる伊東市の名物「十月桜」だ。コヒガンザクラの園芸品種で、春と秋に花を咲かせることからこの名がつけられたという。

 数本の並木に小ぶりの可憐な花が咲き誇る様子は、温暖な伊豆の気候もあいまって、まるで春が訪れたよう。昼食後、散歩がてら訪れた検討陣の目を楽しませていた。

(10/18 15:50)

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両者、自信の進行

 右辺での戦いが一段落し、焦点は碁盤の左半分に移ってきました。黒71、73のツケノビは、中央白からの進出を止めた、たいへん手厚い手です。ただ、上辺に白に荒らされると、甘くなりかねない手なので、それでもそこに一着かけた本因坊の自信をうかがわせる一手です。

 対して白は74から78と、上辺を荒らしに来ました。この手は形を決めた手なので、一瞬打ちづらい手なのですが、ここを分かりやすく荒らしてしまえば、形勢に自信ありという名人の判断がうかがえます。

 両者ともに自信を持って打ち進めている感じです。

(10/18 15:23)

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戦い一段落 実利の名人、厚みの本因坊

 昼食休憩を終えて、午後の白の第一着は48のハネ出しでした。この手で、仮に名人が常形通り白53(14の三)とオサエるのは、黒48(16の三)、白54となって、先手で隅を治まられてしまうので白が甘く、周りの白が厚いこの場合は、実戦のようにハネ出しから白50と隅をオサエ込んで厳しく打ちたいところです。

 ここでまともに戦うのは黒も大変なので、隅の石を捨て石にして整形し、黒67とトビ出して、白12の出切りから始まった戦いが一応一段落しました。

 この結果、白の名人が実利をとり、黒の本因坊が厚みで対抗する本来の棋風通りの分かれとなりました。

(10/18 14:30)

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序盤から石がくっつく

 午前中の右上黒47までを、趙善津九段が解説する。

 「右下の白26ツケコシは先手で地をもって安定させ、黒も外が厚くなって双方不満のない分かれ。お互いの言い分が通ってる。右辺の黒41は厳しい反撃だが、白は直接出切るのは無理とみて、白42からサバキに出ました」

 「序盤から石がくっつく、戦いの碁です。これから右上の攻防、白がハネ出すかどうか」

 昼食休憩後、実戦は解説通りの展開になっている。

(10/18 13:21)

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対局再開

 午後1時に昼食休憩を終え、対局が再開された。しばしの考慮後の張名人の48手目は「16の三」のハネ出し。

 張名人は定刻の午後1時の数分前に早々と入室。おしぼりでゆっくりと顔をぬぐい、大きな息をひとつついた。一方、高尾本因坊は直前に対局室入り。再開するとすぐにスーツの上着を脱ぎ、淡いピンクのワイシャツとえんじ色のネクタイ姿になった。

 記録係の首藤瞬四段が対局再開を知らせ、張名人は数分考えた後で48手目を打った。

(10/18 13:08)

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16の八、急所か!?

 白42に対して、黒18の七にハネて受けるのは、黒の形が薄いので、やりづらいところです。

 検討室では、参考図のような進行を予想していました。この形ですと、右辺の黒の眼形が厚いうえに、隅の黒石の活力も強く、さらに黒5と左下の大どころに回れて、黒が手厚い形勢なのではという検討でした。

 実戦の黒43と単に戻った手は、品がよい手(参考図で黒1とブツかる手は、一見俗で打ちづらい)なのですが、逆に白から白44とブツかりから白46とカケツガれて、白の形がよくなったうえに、右辺の黒の眼形が薄くなったので、よかったかどうか、微妙なところです。

(10/18 13:05)

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厳しい一着

 黒41は、中央の白石の切断を狙った厳しい一着です。白としては、まず15の九の出切りから考えます。

 白15の九、黒15の十、白14の十、黒13の九となった後、白17の十の急所にツケる手が目につきます。部分的には参考図1の白3まで、黒の数子は落ちていますが、黒6までとなって、この場合は攻め合いが勝てません。

 なので、白はまず、参考図2の白1と逃げることになりますが、そこで黒に右辺へ手を戻されて、下辺の黒が厚いので白は苦しい戦いになります。

 そこで、実戦では正面からの戦いを避け、白42とかわす手で変化しました。

(10/18 12:21)

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47手までで昼食休憩に

 第31期囲碁名人戦七番勝負第5局の1日目は、高尾本因坊の47手目までで昼食休憩に入った。対局は午後1時に再開される。

 ここまでの消費時間は、黒番の高尾本因坊が1時間43分。白番の張名人が1時間17分。

(10/18 12:11)

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趙善津九段「両者の碁、すぐ戦いに」

 朝日新聞解説担当の趙善津九段の黒25までの感想。

 「白12、14の出切りから早くも難しい戦いになった。黒11に白15と受けるのは相手の注文にはまる感じなので、出切りの反発は気合です。右下の黒23は白のワタリを止め、白が受ければキカシ。いずれにしても両者の碁はすぐ戦いになりますね」

(10/18 11:07)

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対照的な朝食

 対局を迎えた18日朝、張名人と挑戦者の高尾本因坊の朝食は対照的だった。両者とも離れの和風個室に宿泊。対局中は自室で食事をとる。

 名人はすでに前夜、「朝食はいりません」と宿に告げており、温かいお茶だけ。一方、挑戦者は用意された和食を食べた。ご飯とおかゆ、貝汁などはきれい に平らげたという。

(10/18 10:42)

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早くも戦いに

 黒11のカケに、白が12、14と出切りで応じ、早くも戦いが始まりました。

 このシリーズでは、1日目の朝から激しい戦いになることが多く、互いに好敵手を迎えた両対局者の気合が伝わってきます。

 この戦いで、どちらが主導権を握るかが、序盤最初のポイントになりそうです。

(10/18 09:59)

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現地から

 おはようございます、武宮陽光です。大熱戦だった第4局の興奮も冷めやらぬまま、第5局が始まりました。

 前局から、移動日を除くとわずか中三日の間に、高尾本因坊は長野でのNEC杯とネット対局の大和証券杯の2局、張名人も同じく大和証券杯で1局の碁を打っています。ともにハードスケジュールの両対局者ですが、棋士としてはうらやましい限りです。ぜひ今回も、素晴らしい碁を見せていただきたいと思います。

(10/18 09:48)

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高尾本因坊、右上隅の小目に第一着

 張栩名人(26)に高尾紳路本因坊(29)が挑戦する第31期囲碁名人戦七番勝負の第5局は18日午前9時、静岡県伊東市の「わかつき別邸」で始まった。先番の高尾本因坊は、第一着を右上隅の小目に打ち下ろした。

 午前8時55分、まず張名人が対局室入りした。入り口で深く一礼して入室した名人は、着座するとまず、白布でゆっくりと碁盤を清めた。続いて高尾本因坊が入室。ひざの上で手を組み、姿勢を正してじっと集中していた。

 定刻の午前9時、立会人の小林覚九段が両対局者に「時間になりました」と声をかけ、対局が始まった。

(10/18 09:03)

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対局室検分

 第31期囲碁名人戦七番勝負第5局を翌日に控えた17日夕、会場となる静岡県伊東市のわかつき別邸で、張栩(ちょう・う)名人と高尾紳路本因坊による対局室検分が行われた。

 定刻の午後5時半の数分前に張名人、高尾本因坊の順に入室し、碁盤と碁石を点検し、室内の様子を確認した。立会人の小林覚九段は「照明の明るさはいかがですか」「座布団の厚さは?」と、こまやかに気を配っていた。スーツ姿の張名人はこの日午後に現地に到着後、海を見てきたという。高尾本因坊は第4局の検分時と同じく浴衣姿。背筋を伸ばして座り、石の感触を確かめていた。検分は数分で終わった。

 その後、両対局者は宿の求めで色紙に揮毫(きごう)した。張名人はおなじみの詰め碁をえがき、高尾本因坊は色紙いっぱいに「大道無門」と記した。

(10/17)

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18日から伊東で第5局

 挑戦者の高尾紳路本因坊(29)が張栩(ちょうう)名人(26)に3勝1敗とリードして迎える第31期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局が18日、静岡県伊東市の「わかつき別邸」で始まる。名人位獲得にあと1勝の挑戦者が一気に決めるか、名人が逆転防衛に望みをつなぐか。

 対局は持ち時間各8時間の2日制。挑戦者の先番で午前9時に開始し、19日夜までに決着する。立会人は小林覚九段。

(10/17)

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プロフィール

武宮陽光(たけみや・ようこう)
昭和52年4月29日生。東京都出身。梶和為九段に師事。武宮正樹九段門下。平成10年入段、11年二段、12年三段、13年四段、17年五段。武宮正樹九段は実父。

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