< 第32期名人戦挑戦者決定リーグ第3局 >
● 彦坂直人 九段
対
○ 小林覚 九段
1〜144手
目標は二つ
【白中押し勝ち】144手完
小林はあぶなげなく寄り切ってスタートを飾った。最後は盤面でもどうかという差。黒121(6の十二)では122(3の十)にオサえる方がわずかにまさるが、白125(4の十八)とカンヌキをおろして、やはり盤面勝負だ。ボリューム感たっぷりの白34(15の十一)が圧巻。このため、彦坂は持ち前の明るさを発揮できずに終わってしまったようである。
初めに小林流の若手対策兼棋士生命延長法について触れた。最新情報の研究をおこたらないこと、見てすぐ分かる基本死活の勉強のほかに、もう一つあると思わせぶりな書き方をした。これについてはいくら聞いても答えてくれないので、勝手に推測するよりない。
大胆にいうと、対局のセーブではないか。山下敬吾や張栩のように一年中タイトル戦を打っていては、47歳の身がもたない。そこで自然に棋戦を絞るようになる。名人、棋聖、本因坊の三大棋戦のリーグに入って、ほかの棋戦はそこそこ。ゆるめるわけではないとしても、意識しないところでぎりぎりの頑張りを捨てるのだろう。
50代の藤沢秀行は棋聖の防衛戦に集中し、「一年を4勝で暮らす」といわれた。「あんな芸当は不可能です。へたに絞ると全部だめになるのがオチです」と小林はいうけれど、必ずしもホンネではあるまい。違っていたらごめんなさい。
本因坊戦リーグは圏外に去った。今年の小林は棋聖挑戦と名人戦リーグに全力を振り絞るはずである。
(春秋子)
2007年01月26日
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