1〜34手
消すより攻め
対局開始のチャイムが鳴って1分。黄が上座で待つ盤の前に、山田は座った。ごほごほとひどいセキをしながらハンドタオルを口にあてている。
新年あけて最初の名人戦リーグは、山田の本拠地である大阪に、黄が出向いて打たれた。日本棋院関西総本部には、和室も個室もない。同じ部屋ではほかに手合が5局あり、山田の2人の兄、至宝六段、和貴雄七段も山田と背中合わせで、盤に向かっている。
立ち上がりは両者とも小刻みに時間を使う。右下、白10のツケからばたばた手順が進み、流行の定石ができあがった。「白20とサガられるのは地に甘いけれど、山田さんは黒21にしっかり押し上げ、先手を取って23、25と上辺にまわりたかったのでしょう」と解説役の石田篤司九段。
さて、右上を中心に黒が大きく模様を張っている。消すなら上辺方面、白Aあたりが目につく。
右辺はスソあきでつまらなそうなのに、黄が選んだのは、意外にも白26だった。消そうなどと甘い考えは、どうもないようだ。右辺の黒4子を攻めようとしている。
山田は黒27と根拠を奪い、白28のトビには黒29とノゾいた。
白30のがんばりは絶対。白Bとツイで黒Cにワタられては、白だけが浮いて弱くなる。
ここで井山裕太七段がおもしろい提案をしていた。黒29でDからノゾけば白はBとツグよりなく黒Cにワタれるという。「しかし現実には狭いほうからはノゾきにくいですからねえ」と石田解説者。
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(内藤由起子)
2007年02月09日