1〜21手
前名人登場
前名人の張栩が3年ぶりにリーグに戻ってきた。第1ラウンドは手あきだったので、本局が第32期の初戦である。
昨年秋以降の張は散々な成績だった。名人を高尾紳路に、王座をきょうの相手の山下敬吾に奪われ、碁聖の一冠だけになってしまった。年明け早々のトヨタ&デンソー杯世界王座戦決勝は、世界一を目前にしながら、なぜか乱れて惜敗。厄落としでもしたい気持ちだろう。しかし急所で勝ち運に見放されたとはいえ、評価が下がったわけではなく、リーグ開幕前の本紙座談会でも挑戦者争いの本命とする見方が多かった。
もう一人の本命が、いま棋聖防衛戦の最中の山下だ。こちらは第1ラウンドで黒星を喫したので、本命として生き残るか、脱落するか、必死の一番となる。
棋聖戦七番勝負第1局と2局の間の1月25日、日本棋院「幽玄の間」に現れた両者は、リーグ序盤のヤマと意識しているのだろう、表情が硬い。開始のブザーと同時に「お願いします」とあいさつをかわし、山下の手が右上に伸びた。
白6までは一応まね碁だが、いつまでもまねを続ける気はなく、黒7には白8から張好みの定石を選ぶ。左下でも実利を優先させ、骨格が決まった。解説は高木祥一九段。
「黒19は20も好点。棋聖は白Aと切られるのを嫌ったのでしょう」
記者の勝手な推測をつけ加えよう。山下があえて白20を譲ったのは、あたためていた「ある手」が打ちたかったからではないか。
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(春秋子)
2007年02月23日