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雪辱か連覇か 第32期名人戦七番勝負

 朝日新聞社主催の第32期囲碁名人戦七番勝負が6日、広島市で開幕する。名人初防衛をめざす高尾紳路名人(30)に挑むのは前名人の張栩碁聖(27)。昨年の七番勝負で激闘を演じた両者が、名人と挑戦者の立場を入れ替えて相まみえる。連覇か雪辱か。決戦を前にした両者に意気込みを聞いた。

写真 高尾紳路名人

■胸借りるつもりで 高尾紳路名人(30)

 だいぶ早い時期から挑戦者になるのは張さんなんだろうなあ、という予感はありました。やっぱり、一番の強敵が出てきました。

 子どもの頃からの夢でもあった名人に、去年、なることができました。でも、名人になったといっても、自分が変わるわけではない。むしろ、最近は成績も内容もぱっとせず、浮かれている場合ではないという状況です。

 去年は挑戦者という気楽な立場でしたが、今年は立場が逆ですね。でも、張さんが日本で一番強いという気持ちには今も変わりはありません。事実、名人を取ったあとはすべて僕の負け。だから、今回も胸を借りるつもりで、気楽に、初防衛ということは考えずに戦います。

 2日制で行われる七番勝負(持ち時間各8時間)は僕に合っているという声を聞きますが、それはたまたまでしょう。まあ、性格的にのんびりしているので、それが合っているのかもしれませんね。

 去年、30歳になりました。最近は10代の若い世代の突き上げが激しくて、少し年齢を意識します。20代の頃ずっと活躍してきたわけではないので、僕は30代を棋士人生一番の年代にしたい。振り返ってみて、あのときは一番よかったなあと思えるような。今、そんな気持ちでいます。

高尾紳路(たかお・しんじ) 千葉市出身。アマの田岡敬一氏に師事し、藤沢秀行名誉棋聖門下となる。14歳でプロ入り。05年、本因坊挑戦者となり、張栩本因坊を4勝1敗で破って初のビッグタイトルを獲得する。同時に九段昇段を決める。06年、本因坊初防衛。名人戦リーグ初参加で挑戦権をつかみ、張栩名人を4勝2敗で破って名人位に就く。史上6人目の名人本因坊となる。今夏、依田紀基九段の挑戦を4勝1敗で退けて本因坊3連覇を達成した。

 

写真 張栩碁聖

■しぶとく打ちたい 張栩挑戦者(27)

 長期間にわたるリーグを戦って高尾さんに挑戦するというのは、大きな目標でした。もちろん、挑戦が本当の目標ではないわけで、いよいよだなという気持ちです。

 リーグは苦しい戦いが多く7勝1敗という結果は出来すぎでした。もう2、3局負けていても不思議はなかった。あのメンバーのなかで勝ち残ったのだから自信になりますね。今年前半はあまり調子はよくなかったけれど、途中からいい流れになっています。

 高尾さんとの2年連続の名人戦。特別に意識せざるをえない存在ですが、挑戦者として打つ今年のほうが気持ちは楽です。昨年、高尾さんは2日制に順応し、長い時間をうまく使いこなしていた。集中力が切れず、精神的にタフ。七番勝負では今、一番強いでしょう。逆に僕の反省点はそこにあります。

 昨年、負けはしましたが、一昨年の本因坊戦に比べて手応えは十分にあった。内容的にはそんなに負けてはいなかったと思います。対戦成績の面でも、最近、15勝15敗になってやっと追い付きました。ちょうど並んで、今回が楽しみです。

 長く厳しい戦いを覚悟しています。精神的に切れないよう、しぶとく打ちたい。そしてなんとか第7局へ。最終局にまでもつれれば、僕に分があると思っています。

張栩(ちょう・う) 台湾出身。10歳で来日し、林海峰名誉天元門下となる。14歳でプロ入り。03年、本因坊位獲得。最年少九段に。王座も獲得する。04年、依田紀基名人を破って初の名人位に就く。24歳の史上最年少で名人本因坊(5人目)となる。05年、世界戦初優勝、名人初防衛をはたす。06年、碁聖位獲得。名人戦は高尾紳路挑戦者に敗れ3連覇ならず。今夏、横田茂昭九段の挑戦を3連勝で退け碁聖初防衛をはたした。妻は小林泉美六段。

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