< 第32期名人戦挑戦者決定リーグ第11局 >
● 三村智保 九段
対
○ 山田規三生 九段
1〜28手
序盤の品格
「最近の碁はヨーイドンから険しく、落ちついて打てない」というベテラン棋士の嘆きをよく耳にする。中国や韓国の影響か、あるいはコミが6目半になったからか、確かに序盤から一直線の戦いに突入する例が多い。戦いになれば定石や布石の常識は通用せず、腕力がものをいう。それはそれでおもしろいのだが、高川格、坂田栄男、藤沢秀行らの碁に接してきた老記者には、ややさみしい。戦い一本やりではなく、いろいろな選択肢のある序盤をもっと見せてもらえたらと思う。
その点、本局は序盤のおもしろさや難しさを十分に味わえるはずだ。何よりも選択肢が多様。たとえば黒9。左上と同じように高くカカればどうなるか。また黒11でAと二間にトブのはどうなるか。白の側からいえば、12で17に出て、黒B、白Cと切るのも有力と、考えることは山ほどあるのだ。
2連勝と好スタートを切った山田規三生が、日本棋院関西総本部に三村智保を迎えた一番。石井邦生九段の解説でお届けしよう。
石井「左下の定石は双方不満がないでしょう。黒23と三村さんは工夫しましたね。ただ、Dと固くツギ、白E、黒25とどちらがよかったか。実戦は白Fを狙われるのがいやみです」
黒27はハサミと割り打ちを兼ねるゆっくりした手法。なかなか急戦にはなりそうもない。
白28とカカられた場面で、黒は重大な岐路に立たされた。あくまでもゆっくりいくか、戦いをめざすかだ。
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(春秋子)
2007年03月23日
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