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< 第32期名人戦挑戦者決定リーグ第15局 観戦記 >
黒依田紀基  九段   対   白三村智保  九段

序盤の長考

2007年04月20日

 三村智保が名人戦リーグにデビューしたのは、16年前の第16期、21歳のときだった。師匠の藤沢秀行と一緒のリーグに、「藤沢先生が挑戦者になって、僕は残留できたらいいな」と語っていたのを思い出す。そのリーグ3戦目で、26歳ながら堂々たるカンロクの依田紀基と顔を合わせた。大方の予想に反して堂々たる勝利をあげたのは三村だった。中盤に好手筋を決められた依田が「どうにもならん」と嘆いたものである。

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棋譜

 以来、対戦成績はリーグ戦を中心に依田7勝、三村5勝。この中には3年前の本因坊戦挑戦者決定プレーオフも含まれる。両者は常にトップに近いところで争ってきた。本局も今期の挑戦者争いを大きく左右するのは間違いない。依田が勝てば首位に並ぶ。三村だって2敗のままなら弟デシの高尾名人への挑戦も見えてくる。

 いつも以上に依田の慎重さが目立った。白10のハサミを放置しての黒11の切りに44分を費やす。いったい何を考えていたのだろう。

 「黒11と切れば、三村くんのことだから気合で白Aにコスミツけてくると思った。続いて黒12とカカえ、白Bとなって、そのあとがどうなるのかなと考えました」

 予想は当たらず、三村は白12、14。ここでまた依田は長考に沈む。黒15が打たれたのは、昼食休憩をはさんで37分後だった。この理由は?

 「黒15の瞬間がこわかったんですよ。白の石数の多いところだけに、何がとんでくるか分からないから」

(春秋子)

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