現在位置:asahi.com>囲碁>名人戦観戦記> 記事

< 第32期名人戦挑戦者決定リーグ第21局 観戦記 >
黒依田紀基  九段   対   白張栩  碁聖

異様な感じ

2007年06月08日

 「ぎょっとするね」

打ち手再生 別ウインドウで開きます | 使い方

棋譜

 本局解説の小林光一九段は、白8を指して異様な感じだと言った。先に12にツケるのが一般的。8は地にからく、悪いとはとてもいえない。ただ、黒に12とノビられたとき、白6の一間バサミでは迫りすぎていると考えるのがふつうだ。6がAの二間バサミならバランスがいい。

 張栩の布石は独特だという。

 白12まで左下でできた姿に対して、依田紀基と張とは評価が大きく隔たった。

 手割りでは、黒3と白8の2子を除いて考える。「白2、12、6の構えがいいとは思わないでしょ?」と局後の依田。張は「でもそれに黒3にツケて白8とオサえた交換は、見た目以上に黒が悪い」と譲らない。「呉清源先生も感想戦が強かったとききます。棋風といい、ちょっと似たところがありますね」と、張の岳父でもある小林九段。

 そして依田の目をさらに大きく開かせたのが、白14のツメだった。「驚いたね。僕にはいくら考えても分からないな」。「白も打つ手がなくて」と張は言うものの、左下の強い構えからツメるとは、理にかなってはいない。

 予想外のツメに、依田はすでにリズムを崩されていたのかもしれない。ここで1時間近い長考に沈んだ。逡巡(しゅんじゅん)したあげく黒15とツケたが「敗着になってもおかしくない」となげくほどの後悔となった。

リーグトップを争う大一番は、異様な立ち上がりになった。

(内藤由起子)

[次の譜へ]

このページのトップに戻る