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黒小林覚  九段   対   白坂井秀至  七段

当然の半目

2007年07月13日

 新幹線で東京から2時間半。大阪はぐんと近くなった。しかし疲労は時間ではなく移動距離に比例するともいわれる。小林は前々日の火曜に大阪へ。リーグではほとんどないスケジュールだ。

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棋譜

 「オジサンだから前日移動は疲れちゃって」と小林。今期リーグは2勝3敗と負け越しており、今年の成績も5勝15敗と信じられない星取り。気分転換の目的もあったのだろう。水曜日は大阪城へと足を伸ばした。

 そこで車いすの男性と出会った。坂道が多かったので思わず声をかけ、しばらくの間、手伝った。

 「いいことしたんだなあ。明日は勝てるかな」。その晩、横になったときに思い出し、ちょっといい気分になれたという。

 坂井とは対局当日の朝、エレベーターで一緒になった。扉の開閉ボタンを率先して操作。気配りも表情も人当たりのよさも、いつもとまったく変わらない。4勝1敗は張栩と並んでトップ。念願の挑戦権を目前にして硬くなってもおかしくないのに。

 トッププロが良好な精神状態で戦えば細かい勝負になって当然。この碁、やはり半目差となる。

 白6から12は最近、定石として認知されてきた。黒15に白16が坂井の工夫だったものの評価はいま一つ。やはり白Aにツグところという。

 「黒Aに備えて白は早晩、20が必要。ただし、黒も17、21ではなくB、Cの連打がまさったでしょう」と解説の石田章九段。この分かれの判断も、本局を細かくした一因になる。

(松浦孝仁)

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