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黒彦坂直人  九段   対   白黄翊祖  七段

先人の功績

2007年07月20日

 ちょっとだけ、昔の話をしよう。ミニ中国流と呼ばれることの多い黒1、5、7の構えは、300年以上も前の不世出の大天才本因坊道策が、おもに2子局の場合のうわ手の戦法として確立したものである。いわゆる中国流もアマチュアの菊池康郎さんや原田実さんらによる四十数年前の試みが出発点。名称をうのみにして、中国でつくり出されたと考えるのは大まちがいだ。

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棋譜

 右下、黒9のない形での白10から18までの高目定石は、江戸時代初めの中村道碩らによって打たれたので、じつに400年近い歴史を持っている。新戦法や新定石に挑戦してきた先人たちの努力と功績を私たちは忘れてはなるまい。

 黄翊祖が名古屋の日本棋院中部総本部に出向いての一番は、残酷な落とし合いの様相を呈している。5敗目を喫すると、リーグ残留に赤信号だろう。あと2局、両者は連勝するしか生き残れないのだ。技術評は羽根泰正九段がつとめる。

 「最近は黒13で14にノビる例が多いけれど、位の低いのは彦坂さんの好みではないのでしょう」

 黒19とカカって21と押し、下辺に幅を持たせるのが彦坂の構想。ここで解説者の注目すべき提案があった。黒21の前に黒Aと切り込み、白Bとサガらせたいという。「なるほどねえ。それが手順ですね」と、彦坂はうなずいた。

 定石の運用に変更を迫るような羽根説。A、Bの交換があると、あとの展開ががらっと変わってくる。

(春秋子)

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