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黒三村智保  九段   対   白坂井秀至  七段

半目のなぞ

2007年08月10日

 テレビドラマに欠かせないスパイスは「恋愛、ライバル、病気」だろう。碁はどうか。これはもう誰もが一致する意見のはず。半目勝負しかない。

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棋譜

 ご承知の通り、坂井は本局を半目差で落とし、最終ラウンドを待たずに張栩前名人のリターンマッチが決まった。今期の坂井は、半目勝負が異常に多かった。2月の依田紀基戦、3月の張栩戦、6月の小林覚戦、7月の三村智保戦と4戦あり、勝ったのは挑戦者になった張にだけ。つまり、「半目×3敗」の合計1目半差で挑戦権を逸したことになる。安っぽいタイトルだが、「悲劇の半目」といったところか。

 同日行われた張―小林覚戦もそうだったように、リーグ戦全体でも半目勝負は多かった。その理由も探りながら、石田芳夫九段の解説で熱戦を振り返っていく。

 序盤の主役は三村だ。勝てば残留が、負ければリーグ落ちが目の前の状況の中、意欲的に動く。左上黒7から13まで、下に向かったのが厚み派の彼にしては珍しい。

 石田「白6も坂井さんの碁ではあまり見かけない。触発された部分もあるかもしれません」

 黒13では右上Aのシマリに向かう選択肢もある。続いて白13なら黒Bだ。いくら地に走ったとはいえ、ここまでガツガツはしたくないか。

 白は14、16と上辺の幅で勝負と主張。黒17には白18からさらに上辺を広げていく。三村は慌てず騒がず、下辺を黒23と占めて手を渡す。大きさ比べでは黒に軍配だ。

(松浦孝仁)

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