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黒山田規三生  九段   対   白山下敬吾  棋聖

地味になった

2007年08月24日

 対局開始を知らせるブザーが鳴ると、山下も山田も一礼し、碁器に手をかけた。そして計ったかのように同時に記録席へ顔を向けた。電車が遅れたため、記録係がまだ到着していなかったからだ。手合を管理する日本棋院渉外部の次長が急きょ座り、「私がしばらく代理を務めます」といいながら、ペンをとった。20分ほどすると、記録係の青年が息を切らして対局場の幽玄の間に入ってきた。10年以上の観戦歴で、初めてのできごとだった。

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棋譜

 スーツ姿の山田は、初手を打ってすぐに上着を脱ぎ、あぐらに組み直していた。白18の大ゲイマガカリで、最初の分岐点を迎える。

 山田は40分ほど悩んだすえ、黒19とコスむ。「私ならAとハサんでいきます。コミが大きいので、黒は先着の利を生かして戦いを目指すのが主流」と、「ロッキー」の異名をとる淡路修三九段。山下と山田のハードパンチャーどうしの一戦には、ぴったりの解説者だろう。

 黒のハサミに白がBにツケてさばきを求めれば、黒19、白C以下符号順に白Iのマガリまで定石の進行だ。ここで黒Jのハネにまわれば、黒がやれそうだという。

 黒Aのハサミに白がKとトベば、黒19、白L、黒Mとトンで、これも黒に不満はない。

 白20のヒラキに黒が21とツメて、地味な立ち上がりとなった。

 次の一手、山下の決断は早かったが、予想外のほうへ向かう。

(内藤由起子)

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