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黒高尾紳路  名人   対   白張栩  挑戦者

たくましい2人

2007年10月05日

 台風9号の影響だろうか、名人戦一行を乗せた飛行機は大きく揺れた。記者は手のひらが汗でびっしょりになった。

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棋譜

 「生きた心地がしなかったよ」との声が多い中で、高尾名人と張挑戦者の感想がおもしろい。ひとごとのように「そんなに揺れたんですか」といったのが名人。すっきりした顔で「眠っていたから分かりません」と、いい放ったのが挑戦者だ。

 名人のずぶとい反応は手厚く動じない棋風からある程度は想像できる。予想外だったのは、乗り物に強くないといわれてきた挑戦者。あの揺れのなかよく眠れたねと声をかけたら、こう返してきた。「自分の運を信じていますから」

 たくましさの点では、両者互角のようだ。

 さあ、いよいよ七番勝負が始まった。前夜祭に駆けつけた日本棋院副理事長の大竹英雄名誉碁聖は「待ちに待った」と表現した。ピッタリだと思う。前年と立場を入れ替えての戦いは、お互いに負けられないとの意識が強く働くものだ。

 進行は速い。白6ではAのハサミが一般的。白10から14は連動する作戦という。次に白Bとカケて、右下黒の厚みをぼかす狙いを持っている。

 黒15がサプライズ。ほとんど見かけない姿だ。

 「黒15は白16へトバれると黒BかCの備えが省けず、昔は悪手とされていました。黒15での常形はC。名人は白Dの打ち込みを狙われるのが嫌だったのでしょう」と解説の片岡聡九段。

 両者、意欲的な立ち上がりだ。

(松浦孝仁)

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