現在位置:asahi.com>囲碁>名人戦観戦記> 記事

< 第32期名人戦七番勝負第2局 観戦記 >
黒張栩  挑戦者   対   白高尾紳路  名人

記録係の殊勲

2007年10月12日

【黒中押し勝ち】187手完

 「松本は中学の修学旅行以来です。ほとんど覚えていませんが、今回はいい思い出を持って帰りたいですね」

打ち手再生 別ウインドウで開きます | 使い方

棋譜

 前夜祭でこう語った名人。しかしにがい思い出が残ったのではないか。一番の失敗は左下白48(4の十八)の下ツケだった。対局者との合意で48を敗着と呼んで差しつかえないだろう。ただ、打ち上げの宴が終わって、名人が早々と東京に帰ったあとに行われた彦坂九段による解説の様子は、ちょっと違った。

 記録係をつとめた山森忠直五段が、遠慮がちに解説者に質問した。白50(5の十七)で参考図の白1とツケたらどうですか、と。彦坂はいう。

 「鋭い指摘です。黒2から4のとき、白5と切り違える。黒6、8に白9を決め、11とマガって険しい。黒12には白13と抵抗するので、黒も楽はできず、有力な変化でしょう。実戦はすぐ白50と切り違えたため、一本道の進行になった。48より50が問題だったか」

 昔は記録係がなまいきなことをいうなと、しかられたこともあった。いまは違う。山森五段の殊勲と書いておこう。

 1勝1敗。これで面白くなった。

(春秋子)

このページのトップに戻る