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黒高尾紳路  名人   対   白張栩  挑戦者

秋本番

2007年10月26日

 広島、信州松本とにぎやかな街なかでの第1、2局を終え、迎える第3局は仙台・秋保温泉が舞台である。9月25日に現地入りした一行を、中秋の名月が歓迎してくれた。東北最大の都市の奥座敷とも呼ばれる静かな温泉地だ。

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棋譜

 「温泉につかりながら名月を眺め、明日の対局へ向け英気を養いたい」

 名人は、前夜祭でのしゃれたスピーチを実践するべく「食事はひとりで結構です」と早々と引きあげた。挑戦者も同じ選択。車を断り、挑戦者は夜道を小走りに、宿泊場所でもある対局場「茶寮宗園」へと向かった。歩くには少し肌寒い。第3局にして初めて、名人戦らしい季節を感じた。

 明けて26日午前9時。立会人の石田芳夫九段が開始を告げて、名人が黒1を右上小目へ打つ。ありふれた盤上風景は、この一手だけだったかもしれない。

 挑戦者の白2は第1局でも打った手。なにも驚くことはない。だが、序盤を決めて打つことの多い挑戦者が6分もかけたとなれば話は別だ。何度かためらうしぐさをみせた後に打たれたことで、普段とは違う雰囲気が対局室にただよった。

 そして名人は黒3、挑戦者は白4と互いにケンカ小目を選ぶ。ケンカ小目が二つできるというのはかなり珍しい。基本的には激しい戦いになりやすいとされる布陣だ。

 次いで黒5から白8まですべての隅にカカり、総ガカリの形が現れる。なんとも珍しく、見ていてわくわくする布石となった。

(伊藤衆生)

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