現在位置:asahi.com>囲碁>名人戦観戦記> 記事

< 第32期名人戦七番勝負第3局 観戦記 >
黒高尾紳路  名人   対   白張栩  挑戦者

白、一気に厚く

2007年10月26日

 「どう打っていいか難しかった」という挑戦者は、19分考え、白54で左辺を利かしにいく。決断の速い挑戦者にとって19分は長く、相当悩んだのだと思う。記者は、便宜的に20分以上を長考の一つの目安としているが、本局の挑戦者の考慮時間が「長考」の域に達することは一度もなかった。体が、持ち時間3時間以下の世界戦仕様になっているのだろう。

打ち手再生 別ウインドウで開きます | 使い方

棋譜

 名人は黒55とツケて反発。「あまり白がうまくやっているようには思えないね」という検討陣の意見が覆ったのは、黒が65とハネたためだ。白66からダメが詰まって、白70、72を先手で打たれてしまった。「ハネがおかしく、形勢を損ねた」と名人。白74とツイで見事な厚みが完成した。

 黄「黒65では参考図の1とノビる一手。黒aを見られているので白は2と打つくらいのもの。白6までに黒7のマゲが手厚い進行でした。実戦の黒はやられています」

 左下白8は省けない。黒からb、白cに黒dと眼形を奪う楽しみが残ってしまう。

 挑戦者も形勢よしを自覚。「ただし、黒Aの切りがね」と一抹の不安があったことを口にした。

(伊藤衆生)

[次の譜へ]

このページのトップに戻る