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黒高尾紳路  名人   対   白張栩  挑戦者

小さな観戦者

2007年10月26日

 白38のツギから午後の戦い。上辺白は石の並びにスキが多く、黒は55以下の侵入が可能だ。

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棋譜

 検討室では、部屋の中央に置かれた立派な足付き盤の前後左右に4人の検討陣が代わる代わる座り、研究を続けていた。4人が真剣に鍋をつつくかのように、頻繁に碁石が並べては崩された。

 そのトップ棋士の輪の中に少年の姿があった。仙台在住の日本棋院院生だ。「名人戦があると知り勉強に来ました」。毎週末、母親に連れられて東京の院生研修に参加している小学4年生。遠目に見るだけだったが、小林九段が「いいよ」と声をかけると、小さな手が盤上を舞い始めた。東京近郊の院生と違って、プロの対局に触れる機会は少ない。いい刺激になったことだろう。

 細かなヨセ勝負。白70のあと、黒が中央から右辺をどう決めるかが、一つの焦点だった。

 午後3時、対局室には洋菓子が届けられた。両者、食欲よりも隣に置かれたぬれタオルで顔をぬぐうことに夢中だ。疲労が増してきているのは明らか。もう一つ、特に名人は、残り時間が切実な問題となっていた。

 黒71の直後に1時間を切り、記録係に「残り50分になりました」と告げられると「あー、分からないってことか」とぼやく。時間がいくらあっても足りない局面だったのだ。局後、黒71で81、白82、黒76という変化や、黒83でAに打った場合などが検討されたが、結論は出ない。確かなことは半目勝負であることだけだ。

(伊藤衆生)

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