現在位置:asahi.com>囲碁>第32期名人戦七番勝負> 記事

第32期名人戦七番勝負第5局

【10月17、18日 御所坊 (兵庫県神戸市)】
黒 高尾紳路 名人   対   白 張栩 碁聖

  1日目 | 2日目

写真 封じ手を立会人の石井邦生九段に渡す張挑戦者=10月17日
写真 検討室での坂井秀至七段(手前左)、石井邦生九段(同右)、井澤秋乃四段(奥左)、倉橋正行九段(同右)=10月17日
写真 立会人を務めた思い出を語る石井邦生九段
写真 横にもカメラ。外気が入らぬよう板にあけた隙間から、対局者をとらえる
写真 昼食休憩中の対局室。手前が名人、奥が挑戦者の席。天井にはカメラが、仮設の太い梁から吊されている
写真 名人、挑戦者とも自室で昼食をとった。メニューは野菜の天ぷら、卵豆腐、そばなど
写真 先番の高尾名人が第一着を右上星に打ち下ろした
写真 名人も落ち着いた表情で開始を待つ
写真 対局開始を待つ張挑戦者
写真 対局室検分で石を置く張挑戦者(左)と高尾名人=10月16日

ヨセ勝負、白熱の予感

 110手目を張挑戦者が封じ、このシリーズの最多手数で1日目が終了しました。予想通り大変速い進行で、打つところがだいぶ限られてきた印象です。明日の焦点としては、右辺の黒地がどれほどまとまるか、下辺黒の三つの石がどうなるか。それが解決すれば、もうヨセに突入しそうです。細かそうな局面なので、白熱したヨセ勝負が見られるのではないでしょうか。

 どうぞ、明日もお楽しみに。

2007年10月17日18時45分

*   *   *

「突っ込みが足りない」井澤四段

 NHK衛星放送の夕方の名人戦中継はこの日、午後4時から5時までだった。聞き手の井澤秋乃四段が中盤の形勢を解説者にきいた場面で、中継を見ていた検討室は大いに沸いた。

 まず朝日新聞解説の坂井秀至七段が爛機璽咼広畚弍蕕靴疹賁漫上辺で白90切りの場面で、井澤四段がきく。「(白か黒か)どっちを持ちたいですか?」  坂井七段「ウッ」と一瞬詰まり、一呼吸置いて「両方とも自信のあるような打ち方です」

 井澤四段「難しいということですね」

 検討室一同「井澤さん、突っ込みが足りないねえ。『どちらの形勢がいいと思うのか、はっきり言ってください、オトコらしくないわね』って、突っ込んでほしいなあ」

 ここでNHK解説の倉橋正行九段に替わる。

 井澤四段「どっちを持ちたいですか?」

 倉橋九段、あやふやではっきり答えず、言質を与えない。

 検討室一同、やはり「つっこみが足りない!」

 検討陣で一番声の大きかったのは石井立会人。それに対して「ここは石井先生が出て、はっきり言うしかありまへんな」。

 これに、石井立会人はすかさず「立会人は形勢をはっきり言うてはあかんのです。公平でないとね」。

 どっと笑い声がひときわ高まった。

 旅館の簡易スタジオから出てきた井澤四段に確かめると、「坂井さんが『ウッ』と詰まったので、ああ、これは突っ込んではいけないのだなって、思っちゃって」。

 明日の井澤四段の鋭い切り込みにご期待を。

2007年10月17日18時40分

*   *   *

封じ手の昨今

 午後5時以降、手番の方が封じることができる「封じ手タイム」が迫ってきた。検討室ではひとしきり、この封じ手を巡って盛り上がった。

 石井立会人いわく「ひと昔前は、どちらが封じるかこだわる棋士が多かったね。秀行さん(藤沢秀行名誉棋聖)は封じるのをいやがっていたしねえ。ところが今時は、どっちも封じることに、あまりこだわらなくなったみたいですよ」。

 すると朝日解説の坂井七段が「そうですね、秀行先生は封じ手がいやだったようですね、なるたけ相手に封じさせようとしていたとか」。

 時をおかず、誰言うともなく「趙治勲さんと小林光一さんも、相手に封じさせようと、封じ手の時刻直前に着手が続いた例もあるなあ」という話や、「高尾名人と張挑戦者の今シリーズは、ことに着手のピッチが速く、封じ手についてはそれほど深く考慮されていないらしい」との見方も出ていた。

2007年10月17日18時15分

*   *   *

張挑戦者が110手目を封じる

 神戸市北区の旅館「御所坊」で17日始まった第32期囲碁名人戦七番勝負の第5局は、同日午後5時30分、白番の張栩挑戦者(27)が110手目を封じて1日目を終えた。18日午前9時から打ち継がれる。持ち時間各8時間のうち、消費は高尾紳路名人(30)5時間2分、張挑戦者2時間28分。

2007年10月17日17時54分

*   *   *

大ヨセの入り口、右辺黒のまとまり具合が焦点

 上辺で白が90と切った時点、午後4時10分ごろの形勢について、坂井解説者は「大ヨセの入り口です。右辺黒の陣地と中央の模様のまとまり具合が焦点です」と語った。

 そのほかは、左辺下方の黒からの切りが後手12目という、この時点ではとびきり大きい手。ここをいつ打つか。また、下辺左方の黒3子が白石にへばりついているあたりの帰趨が、どうなるかも注目点という。

2007年10月17日16時40分

*   *   *

手堅く取り込む

 黒83は一つの急所で、白は左辺の一団が弱いので14の八の白石はほとんど動けません。この白石を取り込めば大きいことは大きいのですが、白から見ればこの白石は黒59と受けさせた利かした石なので、処分してもよい軽い石と言えます。黒83に行くなら、白が14の八に消しにきた瞬間に打ってみたかった気がします。

 なので、検討室では9の十にボウシする手を予想していました。左辺の白一団を攻めて、展開によっては14の八の白石を大きく取り込める可能性もあります。

2007年10月17日16時35分

*   *   *

秒読みで石を落とした趙名人 立会人・石井九段の回想

 立会人の石井邦生九段は、関西で打たれる名人戦の立会人をかれこれ20年以上務めている。はっきり記憶に残っている一番古い立ち会いは、1980年、大竹英雄名人に趙治勲八段(当時)が挑戦し、1局無勝負があった第5期名人戦という。

 長い立会人歴で忘れられない出来事は、趙治勲名人が5連覇中のときだったか、秒読みになった趙名人が打とうとした碁石が指先からポトリと落ち、さらに畳半畳ぐらい転々と転がったことだという。当時は対局室の様子を別室から見られるモニターテレビはなく、秒読みになると何事が起きてもすぐ対応できるよう、立会人は対局室に入っておく習わしだった。で、碁石のポロリ、転々を石井立会人は目の前で見たのである。

 「あっ」と思うまもなく、趙名人は転々とする碁石を身を乗り出して追っかけてつまみ、秒を読まれる中、ぎりぎりで打って事なきを得た。落ちた碁石は放っておいて、碁笥から新しい碁石をつまんで打てば時間も節約でき何事もないのだが、とっさのできごとだったので、趙名人も落ちた碁石を思わず追っかけたらしい。

 その時の記録係は円田陽一七段だった。「円田くんの秒読みの『9秒』は、えらく間延びのした『きゅう〜』という感じでしたねえ。『じゅう』と発したら、もう切れ負けですからね。私も一瞬ハッとしました」と石井九段。

 もうひとつは趙名人に大竹英雄九段が挑戦したとき、大竹挑戦者が突然腰痛になって、急遽いす対局になったこと。

 2日目、「いす対局でどうですか」との要請に趙名人は即座に、「そりゃ、なかなかいいですね」と快く応じた。「そこで『いや、それは困る』と趙さんがいうケースも考えられたのですが、快く受け入れてもらって事なきをえたのも忘れられない思い出です」と石井立会人。

 いろいろなドラマが織りなされて名人戦の歴史が書き加えられているのである。

2007年10月17日16時10分

*   *   *

小気味いい利かし

 黒77の押しから白82までは、名人さすがの手順です。先に黒79、黒81とハネアテを打ってから黒77と押しても、当然白78とは受けてくれません。黒77、白78の交換が小気味いい利かしになっています。

2007年10月17日15時55分

*   *   *

白58に対して

 白58に対して実戦は黒59と単に受けましたが、利かされで少し辛いので、参考図のような手も考えられたと思います。黒1、白2を交換することによって白を重くさせようという意図です。もし白4と手を入れてくれれば、先手が回って黒5の大所に向かえます。この黒5は、黒が連絡して白が切れるので、見た目以上に大きな手です。逆に、白にそこに打たれると上辺の黒の一団が弱くなり、白からAのような急所を狙われ、眼の心配をしなくてはならなくなります。

2007年10月17日15時00分

*   *   *

白、好形

 再開後、黒49から53と押した手は、少し感触が悪いような気がします。白5の八にカケツいでいる形が良く、また白54とノビキった剣先が、右辺の黒模様に障ってきそうだからです。参考図のように、単に黒1とワタっているのとどちらがよかったか。ただ黒としては、右上の黒が少し薄いので、確実に先手をとって右辺に手を回したかったのかもしれません。

2007年10月17日14時25分

*   *   *

対局再開

 午後1時に昼食休憩を終えて対局が再開した。高尾名人の49手目は5の十一。

2007年10月17日13時25分

*   *   *

中央から右辺の攻防が次の焦点

 坂井解説者の予想通り、左上に名人が打ち込んだあとの折衝で、挑戦者は左上で地を確保、黒は外回りに展開するワカレとなった。

 この結果について坂井解説者は、「左辺の白が黒の勢力下で孤立したので、どう整形するかが当面の焦点。ここの黒の形作りと関連しつつ、次は中央から右辺にかけての攻防が焦点」と語った。

2007年10月17日12時35分

*   *   *

昼食休憩、再開は午後1時

 第32期囲碁名人戦七番勝負第5局1日目は、高尾名人が49手目を考慮中に昼食休憩に入った。持ち時間各8時間のうち、ここまでの消費時間は高尾名人が2時間9分、張碁聖が51分。再開は午後1時。

2007年10月17日12時13分

*   *   *

挑戦者、反発

 黒47のコスミツケに対して参考図のようになれば穏やかですが、張挑戦者は白3とワタリを強要されるのが辛かったのでしょう。白48と中央に進出して反発しました。

 黒47では、7の八と単にボウシする手もなかなか味わい深く、有力だったかもしれません。

2007年10月17日12時07分

*   *   *

名人、積極的

 長考の末、黒35手目は3の六の打ち込みでした。名人は僕の予想よりさらに厳しい手を考えていたんですね。

 その手は逆に白から7の三にツメられると、上辺の黒石の眼形が乏しくなり、少しやりすぎかなと思っていたのですが。今日の名人は積極的です。

2007年10月17日12時07分

*   *   *

盤面細分化へ 攻防、上辺から左上に

 午前11時すぎまでの展開について、坂井解説者は「上辺で名人が黒23とツケて、厚みと地合のバランスを取る対応をしたため、盤面が細分化されつつある。じっくりとした碁になりそうだ。次は左上4分の1の攻防に移るだろう」と話した。

 右辺に黒の勢力、対して白は左下と下辺に確定地との対照的な出だしだった。しかし、上辺の折衝で黒が地を取り、白が四線を占めるワカレになり、白の地と黒の厚みという展開がやや変質してきた。

2007年10月17日11時30分

*   *   *

黒35手目を長考

 黒35手目を長考しています。黒6の三とカカれば穏やかですが、その前に14の五にノゾく手を考えているのかもしれません。白14の四とツがせれば、大変な利かしです。

 ただ、白もそれは悔しいので、まともにはツナいでくれないでしょうが。

2007年10月17日11時20分

*   *   *

2人の棋風通りの展開か

 右下黒19までは、参考図のようなミニ中国流の時によく見られる形で、実戦の中国流から現れるのは大変珍しいです。

 前回の第4局では、名人の実利、挑戦者の厚み、という2人の本来の棋風とは逆の碁になりましたが、第5局は今までのところ、本来の棋風通りの展開になりそうです。

2007年10月17日11時05分

*   *   *

速い進行

 お二人の対局は、進行が大変速いので今日もどこまで進むのか楽しみです。

 さて、黒番高尾名人の中国流でスタートしました。中国流は名人愛用で、ここ一番で打ち慣れた布石を選んだようです。

2007年10月17日10時15分

*   *   *

名人、中国流の構え

 高尾名人の布石は中国流。今シリーズ初めての構えだ。張挑戦者は白4まで左右対称の布石で応じた。

 朝日新聞解説の坂井秀至七段は「名人は中国流を割と好きなのではないか」と指摘。

 「4日前の先週土曜日に埼玉県久喜市で打たれたNEC杯でも黄翊祖七段相手に中国流でした。対して張挑戦者は、黒が右方で星と小目に構えた場合は、左右対称に応じるのが一貫した行き方です。白6は下辺星でした。ここまでは2人の最近の実戦例にあります」

2007年10月17日10時00分

*   *   *

第5局を現地より実況

 みなさん、こんにちは。武宮陽光です。名人戦七番勝負第5局を現地から実況させていただくことになりました。2日間、よろしくお願いします。

 張挑戦者の3連勝で高尾名人が初めてカド番に追い込まれました。このまま一気に張挑戦者が名人位を奪取するのか、高尾名人が巻き返すのか注目の一番です。

2007年10月17日09時50分

*   *   *

名人の先番で第5局始まる

 高尾紳路名人(30)に張栩碁聖(27)が3勝1敗とリードして迎えた第32期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局が17日午前9時、神戸市北区の旅館「御所坊」で始まった。先番は高尾名人。持ち時間各8時間の2日制で、18日夜までに決着する。立会人は石井邦生九段。

2007年10月17日09時20分

*   *   *

高尾名人は散歩、張挑戦者は朝がゆ

 朝食は高尾名人、張挑戦者とも自室でとった。

 午前7時半、名人は旅館の御所坊から、靴に背広姿で散歩にでかけた。そのころ挑戦者は、一行とは別メニューの朝がゆを取っていたはずだ。

 有馬温泉の紅葉はまだ。ところによってはほんのり色づき始めたモミジもあるにはあるが、大半はまだ緑が十分勝っている。旅館の周りには泉源がいくつもあり、湯温93度。そこここに湯煙があがる。かすかな硫黄の匂いをかぎながら、名人は静かな闘志を募らせたのだろうか。

2007年10月17日08時50分

*   *   *

挑戦者は表情固く名人はにこやか 対局室検分

 第32期囲碁名人戦第5局を翌日に控えた16日夕、会場となる神戸市の「御所坊」で対局室検分が行われた。

 日本庭園に面した対局室「偲豊庵」に、張挑戦者、高尾名人の順に到着。石を置き盤の感触を確かめると、「問題ないです」とうなずいた。スーツの挑戦者は固い表情。すでに一風呂浴びたか、浴衣姿の名人は終始にこやかだった。

2007年10月17日08時45分

*   *   *

17日から神戸で第5局

 挑戦者の張栩碁聖(27)が高尾紳路名人(30)に3勝1敗とリードして迎える第32期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局が17日、神戸市の「御所坊」で始まる。名人位奪還にあと1勝の挑戦者が一気に決めるか、名人が逆転防衛に望みをつなぐか、注目の一番だ。

 先番は高尾名人。持ち時間各8時間の2日制で、18日夜に決着する見通し。立会人は石井邦生九段。

2007年10月16日

*   *   *

  1日目 | 2日目

このページのトップに戻る