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黒張栩  挑戦者   対   白高尾紳路  名人

風林火山の地で

2007年12月07日

 第1局広島、第2局松本は最高気温が30度を超え、真夏の暑さだった。第3局仙台、第4局伊豆市修善寺、第5局神戸と転戦するうちに秋は深まって北国から雪の便りが届くようになり、名人戦は風林火山の地、甲府市にやってきた。

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棋譜

 読者は七番勝負の結果も、すべての一局一局が白熱の好局だったこともご存じだが、中でも代表的な名局と評判になったのがこの第6局である。検討陣の予想を超える意外の連続、息づまる半目の攻防。名局のあらゆる要素が含まれているといっても過言ではない。その戦いの跡をじっくり振り返ろう。

 1日目の朝、「常磐ホテル」自慢の庭に、近くの昇仙峡から出張するのか、カワセミが姿を見せる。時々、池に急降下するのは小さな魚をついばむためだろう。もちろん、対局者の目には入るまい。

 あるのは盤上のみ。先に席についた挑戦者が手ぬぐいで盤をふき清めるうちに名人が登場。ややあって、名人戦初立ち会いをつとめる王銘エン九段の「時間になりましたので」の声で、挑戦者の手が黒1に伸びた。

 黒7までは第4局とまったく同じ。そのときは白Aだった名人、こんどは白8と変わった。王立会人はいう。

 「同じ布石で私も羽根直樹さんにノータイムで8に打たれ、そういうものですかと感じさせられたことがあります。厳しいですね」

 白8はかねて用意の一手。もう平穏な布石にはならない。

(春秋子)

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