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黒依田紀基  九段   対   白小林覚  九段

危機感

2008年02月08日

 形勢の悪い白はこわいものなし。白6は20の置きから26と下辺で生きる手段を狙っている。

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棋譜 61ツグ(59の左)

 「黒29で32に取りに行くのは、白30にカケられて、しめられるのがイヤでしょ」と依田。右辺に出て行くほうがまさるという判断は、間違っていない。

 黒の誤算は、中央を手抜き白44にノゾかれたことだろう。白56まで右辺をすっからかんにされたうえ、中央は白64と4目の地を持って生きられては逆転ムードだ。

 さかのぼって「黒33と相手を生かしたということは、依田さんは危機が迫っているのを感じていなかったのでしょう」と林解説者。下辺は参考図の黒1から9でコウにする手段があったのだ。

 勝っていれば紛れのない33は好手だが、形勢が悪いと分かりやすく負けにする悪手になる。

 白50に抜かれたあたりで、「どんだけ損したのか!」と、依田は扇子で頭をばしばしたたく。

 あんなに形勢がよかったのにと、がっかりしたか。自分に対するふがいなさが依田の心の目を曇らせたのか。実はまだ黒にはチャンスが残されていたのに……。

(内藤由起子)

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