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< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ第9局 観戦記 > 剣豪の気2008年03月14日 実は井山の対局姿にほれこんでいる。細身で色白だから迫力はあまりない。ひきつけられるのは打つ瞬間だ。石をつまんだ左手がスーッと盤面に伸び、一呼吸置いてから打ち下ろす。そのときの左腕がなぜかとても長く見える。妖気ただよう、といったらおおげさか。剣豪のようなイメージを記者は抱いてしまう。
剣豪に限らず、一流は一流を知る。18歳の井山を単なる若手精鋭と認識している棋士はいない。盤面を見る限り、坂井も井山を「倒さなければならない相手」としてとらえているようだ。積極的な石組みを目指したのは6目半のコミを意識したためではないだろう。 右上白8を迎えて坂井は早くも8分間考え込む。黒A、白B、黒Cの定石は上辺白のバランスがよく、打ちにくい。選んだのは黒9の上ツケ。黒21までで上辺白の構えはやはり理想的だが、勢力を主体に打ってみるつもりだ。白22には黒23以下の予定。白26から30の変化も織り込み済みだ。 「白26と一本余計にハッて手抜きするのは場合の手。現在の局面ではこの一手といえます。白26で29は、黒Dにツメられて右辺白が一方的な被告になります。白22と28で形成された二間ビラキは、めったに見られないほどの好形です」と解説の石田章九段。 局後の坂井も似たようなコメントだった。「二間ビラキひとつで右辺上下の厚みを消された。よくないんでしょうね」。坂井の狙いは急襲。その作戦のための厚みだったか。 (松浦孝仁) |
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