現在位置:asahi.com>囲碁>名人戦観戦記> 記事

< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ第11局 観戦記 >
黒趙治勲  十段   対   白黄翊祖  七段

一銭たりとも

2008年03月28日

 黒77の押しに、白95とハネたいのは山々。しかし参考図の黒1のノゾキから3と、タネ石が落ちる弱みがあるので、白は78で守る。白80とハネ出されるのは、△が悪手になるので黒歓迎だ。

打ち手再生 別ウインドウで開きます | 使い方

棋譜

 中央で治まろうなんてケチなことは、趙は考えない。黒85、87と外に向かう。白は92とひっぱり出し、98とおどさないと勝負にならない。これはすべて趙の誘導した道筋だという。わざと眼形を取りにこさせているのだ。黒99、101はタダでも打ちたいところ。当たり前の消しを打ちながら一銭も損をせずしのぐのは、趙の真骨頂だ。

 黒103、105の味付けも、打ちたくて仕方なかったはず。黒107のノゾキが利くだけでなく、黒Aに石がくれば、黒Bの楽しみが残る。白が抵抗すると隅に手段が生じる。

 趙のぼやきもすっかり消えた。白がたいへんな形勢だと検討陣は見ていたし、趙も「こんなに簡単に生かしてくれるとは。計算できなくて雰囲気だけど、黒いいんじゃないかな」。「実は最近、趙先生は楽観派なんです。昔は思い通りいっても、何かあるのではと疑っていたようですが」と、王銘エン解説者は趙の好調ぶりを分析した。

 ただ、ふつうの人には、寄りつかれそうで怖い打ち方だ。楽観していればなおさらだ。

(内藤由起子)

[次の譜へ]

このページのトップに戻る