現在位置:asahi.com>囲碁>名人戦観戦記> 記事

< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ第13局 観戦記 >
黒高尾秀紳  本因坊   対   白井山裕太  七段

復活した定石

2008年04月11日

 それほど古い話ではない。井山が若手というくくりからまさに飛び出そうとしていたときのこと。ある企画で井山、黄翊祖、彼らと同じ世代の棋士が海外へ出かけた。もちろん、武者修行が目的だ。みんな成績が気になって仕方ない。すると超一流のタイトルホルダーがこう聞いてきた。「井山さんと黄さんはどうでしたか」。気を利かしたつもりで全選手の成績を伝えようとしたら、「今の時点では他の選手では無理でしょう。興味はありません」とキッパリ語った。

打ち手再生 別ウインドウで開きます | 使い方

棋譜

 そのご託宣の通り、黄は名人戦リーグの常連になりつつある。井山は初参加だが、各棋戦でまんべんなく活躍し、注目度は黄の上か。そして本局だ。前名人の高尾本因坊を破り、挑戦者レースのトップ集団に加わった。もう名人位が完全に視野に入っている。

 布石のポイントは左下だ。この定石、しばらく前まで支持率は限りなくゼロに近かった。黒は白2子をカカえて味よく強い姿なのに、白はAの断点がいつまでたっても気になる。とても互角とはいえないとされていた。復活の理由は何だろう。

 「やはりコミでしょうね。白6のコスミと同様、6目半のコミを意識してゆっくりいく考えです。左辺に向けてにらみを利かしていた黒の厚みも、白24でうまく中和することができます」と解説の片岡聡九段。

 黒25は仕方ない。黒B、白27、黒Cは白Dのヒラキが大きくなる。白24が絶好のポジションだ。

(松浦孝仁)

[次の譜へ]

このページのトップに戻る