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黒依田紀基  九段   対   白山田規三生  九段

知恵の争い

2008年04月18日

 日本棋院関西総本部対局室最上席に静かに陣取る山田に比べ、依田はバッグをごそごそやって落ちつかない。扇子を忘れたという。すぐ売店に行き、「加藤先生のがいい」と買い求める。故加藤正夫九段が「和光」と書いた扇子。「同塵」と続き、知恵の光をかくして俗世間に同化するという老子のことばだ。

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棋譜

 しかし盤上は知恵の争いだ。山田が午前中に最も知恵を絞ったのが白20の着点だった。

 王立誠「黒3子に圧力をかけ、山田さんらしい攻め中心の考え方です。ただ、すかさず黒21、23を決められる地の甘さが気になり、私には打てません」

 解説者が推すのは参考図の白1の外ヅケである。9までの古典的定石が完成したあとなら、白aが絶好のツメになる。したがって黒はbとヒラくくらいのもの。そこで譜の白Aとカカって、地の争いでも互角だろう。

 下辺に移って、白26、黒27を決めたからには白Bと守るのがおだやかだった。白28と欲ばったものだから、黒29から31のさばきに山田は手を焼いた。そして黒33を「見たことがない。感心しました」と解説者は絶賛する。依田の知恵がキラリと光った一手だった。

(春秋子)

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