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黒趙治勲  25世本因坊   対   白小林覚  九段

盤上の美

2008年05月16日

 春の野は上手の打った碁なりけり 寥松

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棋譜

 200年近く昔の江戸近郊の春をうたったこの句はすばらしい。さまざまな草花が咲き乱れる光景を、月並みに美しいといわず、上手(じょうず=一流の碁打ち)同士の盤上のようとひねりを利かせてある。詩と碁の長い伝統を誇る中国だってこんな表現は珍しいのではないか。作者はかなりの碁好きと思う。

 市谷周辺の桜はあらかた終わり、春が深まった4月10日、挑戦レースを大きく左右するであろう趙治勲―小林覚戦が行われた。黒23までをざっと見渡してほしい。春の野さながらの美を記者は感じ取った。黒5までの流行布陣でスタートしながら、ありきたりの序盤にはならなかった。

 まず小林の白8。黒9と交換したまま手を抜いたのは、黒のシマリを許すよりは働きと見たのだろう。続いて白14のハサミを相手にしない趙の黒15。技術顧問は趙と9回の七番勝負を戦い、誰よりもよく知る小林光一九段がつとめる。

 「白14は黒Aにトベといってる。続いて白Bに黒Cとハサむのが普通でしょうが、トベといわれると変わりたくなるものです」

 白18は黒Dのツメを先手で拒否して働かせた意味。

 白22がくると黒23はこの一手だ。黒は三隅で先行し、白は左下が好形。美しいまでに調和がとれていると思いません?

(春秋子)

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