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黒小林覚  九段   対   白陳嘉鋭  九段

石の意思

2008年06月06日

 自分の打ち下ろす石にどれだけ意思を持たせることができるか。簡単なようでも、われわれアマチュアはそこが大の苦手だ。

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棋譜

 「定石はどうだったか」と、対局中に記憶をたどった経験は誰にでもあるはず。そんな意思の弱い石は、そのうち大きな弱点として浮かび上がるものだ。

 左上の定石に注目しよう。定石に詳しい読者なら、白14に違和感を覚えるはず。この形はタイミングよく黒A、白B、黒Cと出切られると少々しびれる。隅、もしくは辺の味が相当だ。白14ではDのケイマをすすめる定石書が多い。

 もちろん、陳はそんなことは百も承知。解説の石田芳夫九段は、逆に陳を支持する。

 「白14は、次に白16と急所を突くつもりなら、白Dにあるより数段いい。白16が実現した実戦はなかなかと思います」

 黒17のつらい押しを打たせたのも白14、16のコンビネーションのおかげ。黒15で16と守れば手堅いが、白に左辺を守らせてはおもしろくない。

 黒19の意思も明確だ。続いて白が21と絶好点のマゲを占めれば、黒Eとカケて左辺を制するつもり。白20なら黒21から25と手厚く備える。ここの黒がしっかりしていれば、左辺で強く戦える。

 石田「黒25までは我慢したという感じ。小林さんは、やはり白Aの味を楽しみにしています」

(松浦孝仁)

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